オダギリジョーが演じる弟の猛は、故郷を離れ、東京でカメラマンとして成功。一方、香川照之の兄・稔は実家のガソリンスタンドを継いでいる。母の一周忌に帰った猛だが、稔、幼なじみの智恵子と出かけた渓谷で、智恵子が吊り橋から転落死してしまう。殺人容疑をかけられた兄と、彼の無実を信じる弟の関係が、ときにスリリングに、ときに不可解に、さらに衝撃と感動を行き来し、タイトルが示すように“ゆれながら”展開する骨太なドラマ。
主演、ジョーだし…(笑)。
でも、カンヌとかで賞をとったり、何かと話題になっていたし、なんと言っても競演が香川さんだったから、ずっとみたかったのよ。地元じゃ上演もなかったしね。
都会で成功した弟と、田舎で家業を継いだ兄。
二人の間に、確かにあったはずの絆は、事件をきっかけにその脆さに揺れることになった。
兄が香川照之、弟がオダギリジョーです。
いやあ、二人とも巧いねえ。
善良で、ちょっと小心で、朴訥で、よき隣人タイプの兄の心に深く潜んでいた、弟への感情。
奔放で、女たらしで、自由気ままな弟は、自分にはない気質を持つ兄を本当に尊敬していたのに。
ひとつの事件(あるいは事故)をきっかけに、彼らがその内心を吐露することになり、そしてお互いそれに驚き傷つき涙する姿が、どのシーンでも印象的でした。
兄からの言葉の刃に切り裂かれた弟の表情だとか、弟の決断を聞いたときの兄の表情が、物凄く雄弁で。
だから、最後の兄弟再会のシーンでの兄のあの表情の変化は、もう、涙なくして見られませんでしたよ。
くううううう。
いやあ、いい映画でした!
●「トンマッコルへようこそ」
2007年6月10日 映画朝鮮戦争のさなか、韓国軍と人民軍、そして連合軍の兵士たちが偶然にも不思議な村トンマッコルに迷い込んできた。まるでユートピアのような村とそこに住む人々の純朴な温かさに、始めは反目していた兵士たちもやがて打ち解け始めていく。しかし、同胞を探しに連合軍が村へ侵入してきたことから、トンマッコルの平和は打ち破られてしまい…。
ファンタジックかつユーモラスな構えで、朝鮮半島南北分断の悲劇を描いたヒューマン・エンタテインメントの秀作。まさにユートピアとしか言いようのないトンマッコルの素晴らしさがうまく描けており、兵士たちならずとも永遠にそこにい続けたい気持ちにさせられる。
ファンタジーとして鑑賞すると、なかなか楽しめたと思う。
最初、反目する兵士たちが、次第にいくつかのエピソードを乗り越えて心を通わせることになり、最後には力をあわせて困難に挑む。
簡単に言ってしまえば、そういう映画です。
とても楽しかったのは、彼らが最初に行う共同作業としてのイノシシ退治(笑)。
あのシーンは、エピソードとしても笑い所だけれども、カメラワークだとか演出がユニークで楽しめました。
最後の戦闘シーンでは、地対空用の武器じゃないだろうことを考えてもかなり無茶というかご都合主義的にも見えるとは思うのだけれども、ファンタジーならそれもアリでしょう。
南北連合軍として戦った彼らの姿は、もしかしたら現在も引き裂かれている同一民族であるという状況を抱えるかの国の観客が願う姿、なのかもしれないなあと感じました。
●「DEATH NOTE 後編」
2007年6月9日 映画頭脳戦を制するものが、新世界を制す。
退屈な死神が人間界にノートを落とし、退屈な天才がそのノートを拾った。―それは文字通り、人の死を決定づける"死のノート"。死神だけに許された究極の道具を手に入れたのは、誰にも負けない頭脳を誇る全国トップのエリート大学生、夜神月(やがみライト/藤原竜也)。やがて彼は、理想の世界を築き上げていくことを決意し、自らの手で世界中の犯罪者を裁き始める。
一方、ICPO(インターポール)では、一連の事件を捜査するべく、もうひとりの天才を日本の警察庁に送り込んでいた。抜群の情報収集能力と神がかった推理力で、世界中の迷宮入り事件を解決してきた謎の名探偵とも言うべき天才「L」(松山ケンイチ)。次第に絞り込まれていく捜査網。デスノートを巧みに操り、そんな捜査陣を翻弄する月。人類の未来を巻き込んで、知力の限りを尽くす壮絶な頭脳戦が始まった。
前編は折角映画館で見たのに、後編上映直前にTVで放映されちゃって、ちょっとがっかり(…セコイ?(^^;)。
そのせいばかりではないものの、結局後編はタイミングをはずしている間に上映が終わっちゃったのでした。
TVの時に相棒も一緒にみてたので、この後編は二人で鑑賞。
後編は、原作でいうとライトが捜査本部に出入りするようになったところから、L編の終わりまで、って感じでしょうか。
さすがに映画として完結させるために、L編の終わりとは言っても、物語としてもちゃんと終わっています。
クライマックス部分のアレンジの仕方は、脚本家の腕がさえてましたねえ。
レムが消えてから怒涛のクライマックスに突入するまでに犯したライトのミスが大きすぎるような気はするんだけど(あれだけ念入りに頭脳戦を繰り広げていたわりには、マヌケな失態だと思う)、逆に言うと、大きく気になったのはこの部分ぐらいだし。
好きなのは、やっぱりLの落とし前のつけ方でしょう。
あれはちょっと格好いいわねえ。
原作では、Lってイイ部分を表現する前に退場しちゃった印象があるけど、映画はすっごく得な役になってたと思う。
しかし、最近ロボ姿の松山ケンチイばっかり見てたので、L姿はちょっと新鮮だったな(笑)。
彼の名前は、昭和天皇、ヒロヒト。1945年8月。その時、彼は庭師のように質素な身なりをしていた。宮殿はすでに焼け落ち、天皇は地下の待避壕か唯一被災を免れた石造りの生物研究所で暮らしていた。人は、彼を神の子孫だと言ったが、天皇は「私の体は君たちと変わらない」と言った。戦況は緊迫していたが、彼は戦争を止めることができなかった。その苦悩は悪夢に姿を変え、午睡の天皇に襲い掛かる。 うなされるように目を覚ます天皇の孤独。彼は「私は誰からも愛されない」と呟き、遠く離れて暮らす皇后と皇太子たちのアルバムに唇を寄せた。日本はまだ闇の中にある。やがて連合国占領軍総司令官ダグラス・マッカーサーとの会見の日が訪れる。彼はひとつの決意を胸に秘めていた…。
イッセー尾形がロシアの監督によって天皇を演じることになった、と知ったのは多分映画が各種映画祭に出品され始めたあたりだったと思う。
そのときから、「天皇を描いた映画」なんてまだ当分の間日本では造られることはないだろうと感じていたから、余計に観たいなって思っていたんですよ。
その後、いろんな映画祭で好評だというのを耳にするほどに、余計に日本では上映されないんじゃなかろうか…と勘ぐっていたのですが、結果的にかなりの数の映画館で上映される作品となったようです。
やっぱり観たいって思った人が多かったってことなんでしょうね。
描かれているのは、人間としての昭和天皇の姿でした。
始まってしまった戦争に心をいため、ヒトとして生きることを表明したいと願った、一人の男性の行き方として、興味深く鑑賞できました。
外国の監督が録った日本の映画にしては、かなり違和感なく楽しめたのもよかったかな。
映像としては、空襲シーンでの魚の描写とか、エンドロールの廃墟を思わせる東京の俯瞰(…だよね?(^^;)だとかが、綺麗でユニークだったと思う。
多少物語の時間経過が不鮮明な部分とかがあって、話がわかりづらく感じたりもしましたけど、全体としてテーマがはっきりしていて理解が難しくなかったですね。
しかしその簡潔に見えるテーマも、内心にいろいろな想いが湧き上がってくるのは、やはり自分が日本人だからでしょうか。
多分、日本人とそうでない国の人では、この映画に対する感傷が随分違うんだろうなあ。
まあしかし、映画というエンターテインメントというものであるとしても、コレが上映されたのは、多分凄いことなんだろうなあ。
間宮明信と徹信は仲のいい兄弟。それぞれ立派な社会人だが、趣味、価値観、モテなさ加減も一緒のふたりは、仕事以外、ほとんど行動をともにしている。ある日、カレーパーティを企画したふたりは、それぞれちょっと気になる女性を招待する。一方、明信は会社の先輩の離婚に協力を求められ困惑。兄弟ふたりの平和な生活に変化が訪れる…。
江國香織の同名小説を、森田芳光が映画化。映画やTVで活躍する名バイプレイヤーの佐々木蔵之介とドランクドラゴンの塚地武雄が間宮兄弟に扮している。兄弟離れができない自立しきれない男ふたりの物語は、描き方によっては変人扱いされてしまいそうだが、森田監督は家族を誰よりも大切にする誠実さを全面に出し、ふたりのズレ加減をユーモアの核にして、本作をコミカルなヒューマンドラマに仕上げた。ふたりを取り巻く女性陣、常盤貴子、沢尻エリカ、中島みゆきなどが、キャラクターをしっかり際立たせた好演。しかし、なにより注目してほしいのは、佐々木と塚地。ふたりの明るいキャラクターと相性の良さのおかげで、この映画は心温まる作品になった。
主人公が蔵ちゃんだしね、そして母親役がみゆきさんだし(笑)。
というわけで鑑賞。
仲良しな男兄弟の物語。
30も過ぎたいい歳の兄弟が同居して、女気もなく(彼ら自身は求めてるのだけど…)、趣味を楽しむのって、どう思うのかしら。
一般的には否定的に捕らえられることが多いんだろうなあ、と思いました。
現実をみろよ、とか、そういう感じで。
でも、私はこういう生き方もアリだと思うんだよね。
特にこういう生き方が肯定される(許容される)社会っていうのは、豊かだと思うし。
そんなことを感じながら観たのでした。
私は好きだなあ。
●「笑う大天使(ミカエル)」
2007年5月18日 映画天才・川原泉の名作コミック「笑う大天使」ついに映画化!ようこそ乙女の園へ。フツーの女子高生が、ウルトラスーパーお嬢様学園に入学!?ほんわかした笑いと、キュンと胸を締め付ける切なさ。カラフル&キュート!新しい青春エンターテインメント・ムービーの誕生!
原作は川原泉。結構古い作品だよね。何故今頃映画化なんだろう…。
相棒が原作の大ファンで、私も川原教授は好きなのだけど、全然期待してなかったから、見たいような見たくないような…という心境なのでした。
何しろ実写だしさ、あの破天荒な物語をどうやって映画にするのか…、ねぇ?(^^;
そういうわけで、全然期待せず、鑑賞(笑)。
もともと版権の問題もあるだろうから、ウルトラマンと超人ロックと鉄腕アトムで、えらいこっちゃを踊ってほしいとまでは思いませんでしたが(^^;、それでもダミアンぐらいはまともにネタを使って欲しかったよ(涙)。
あの気持ち悪く、クネクネ動くダミアンCGは一体…。
そして、何故ミカエル学園は孤島(?)にあるんでしょうか。あの列車のCGも気持ち悪かったなあ…。
全体に、とにかくCGが変だった。…というか妙だった。
少女漫画を実写映画化する、というときに、読者が気を使って欲しいと思う部分と、作成者が力を入れようとしている部分が、ことごとくハズしていたような気がする。
これ、商業的にかなりコケてませんかね?
少なくとも原作ファンから大絶賛、っていう作品にはなっていないと思うのですよ。
はう〜。
戦後の昭和、そこには立食いソバ屋などの飲食店を戦慄させた立喰師たちが歴史の闇で暗躍していた。やがてファーストフードという巨大システムが台頭してくるが、そいれもまた立喰師たちによって崩壊していく…。『イノセンス』などの押井守監督が、その創作の原点ともいえる立喰いの世界をモチーフに、通常のアニメとは異なる“スーパーライヴメーション”なる新手法で描いた問題作。数々の立喰師たちが繰り広げる驚異の笑いを通して、ここでは究極ともいえる昭和思想史が紡がれている。その語り部は山寺宏一で、上映時間のほとんどナレーションで語り続ける彼の存在もまた驚異。ある意味、押井ファンのリトマス試験紙ともいえる作品だが、その世界観に身を委ねてしまえば心痛くも気持ちよいこと、この上ない。
押井守が、原作・脚本・監督の映画です。
以前から「立ち食い」に関して一家言を持っていた監督が、その集大成レポートを作成しました!という感じの映画。
出演者は、ほとんど押井映画では、お馴染みの面々で、そのあたり知っているとより楽しめます。
個人的には、現代パートのが好きだな。
予知野屋の襲撃事件は爆笑ものだし、ハンバーガー100個もサイコーに笑えた。パテを返しまくった神山さんが、好きです(笑)。
まったく一般受けするとは思えない映画ですが、押井ファンなら、一見の価値はあるでしょう。
若年性アルツハイマーと聞くと、悲痛なドラマを連想するが、本作は観終わってどこか希望の光を感じさせる。それでいて、病気の現実を真正面からとらえる。この意味で、ひじょうに好感が持てる作品である。渡辺謙が演じる主人公は、50歳を前にして物忘れがどんどんひどくなる。最初に彼が受ける病院の検査から、観る者に同時体験させることで、アルツハイマーの怖さをリアルに実感させていくのだ。もし自分が、あるいは家族や同僚が…と切迫感を高める展開が見事。
若年性アルツハイマー病に突如襲われた50歳の働き盛りのサラリーマンと、そんな夫を懸命に支えようとする妻との絆を綴る。
公開にあわせて、ほぼ日で映画の宣伝をしていた時から気になっていたんだよね。
私は樋口可南子さんという女優さんをよく知らなかった。女優ってよりも、私の中ではイトイさんの奥さん、みたなイメージしかなくて。
ただ、去年だったか、NHKのドラマでアニマルセラピーのドラマ(と言っていいのかな?)をやっていて、その主演が樋口さんだったの。
美しい能のお面のように(能面のよう、という形容詞から想像するようなマイナスイメージじゃなくて)綺麗な顔にアンバランスな、非常に元気で健康的な声が印象的な女優さんだなあ、って思ったの。
それで興味が出まして。
物語は、仕事一徹で生きてきた男性が、アルツハイマーになったその姿を描いたもの。
主人公が病気を受け入れはじめたところが、とても格好よかったな。
発病してからも仕事を続けていたんだけど、それが段々困難になってきて、それでも必死に働いて。
物凄くこのあたりのエピソードが、じ〜んときます。
途中、彼の病気のことを知らずに、彼にまた元のポジションで頑張ってほしいという取引先の人から電話がかかってくる場面も好きだ。
電話をかけてきた人の役は香川照之なんだけど、彼のあったかい人柄に主人公が救われる(でももうこのときには、主人公は腹をくくってるんだけど、でもやっぱりとっても嬉しかったと思う)のがよくわかって…。
全体に、役者さんたちの演技が巧い人ばっかりだった。
主人公の渡辺健も、こんなに細やかな表情でナイーブなサラリーマンを演じられるのかとびっくりしちゃった。格好いい人が、格好いい役で格好よく見えるのは当然だからね。こんなに巧い人だったとは思わなかったよ。
主人公の奥さん役の樋口可南子も、凄い。
病気の夫を支えるところは、内心に熱いものを秘めた女性としてきらきらしていたし、クライマックスで山から下りてきた彼が自分さえも忘れてしまったときの、愕然とした表情と、号泣。
あ、思い出しただけでまた泣きそう…。
とにかく、静かに、強い、映画でした。
はあ、いいものを観ました。
●「ブレイブ ストーリー」
2007年5月6日 映画11歳の平凡な少年ワタル(声・松たか子)は、ある日クールな転校生ミツル(声・ウエンツ瑛士)が不思議な扉を開けて中に入っていくのを目撃する。扉の向こう=幻界(ヴィジョン)へ行けば、一つだけ願いが叶うのだとミツルはいう。そんな折、ワタルの父が失踪し、母は心労で倒れてしまった。家族を再生させるべく、ワタルはその扉を開けるのだが…。
相棒が著者のことを好きで、原作も文庫になったときに読んでました。
しかし文庫で三冊の長い物語、もともと活字好きで物語を読むのに慣れている相棒にして、「こんなに読みづらい、惹きこまれない物語は久しぶり」と言わしめていた作品(^^;。
ま、もともと宮部さんって時代ものは定評があるけど、ファンタジー作品は結構評価が分かれてるみたい(な印象)なので、あんまり期待してなかったけどね。
映画は、原作者のネームバリューと、豪華声優陣ってことで話題づくりをしていたようですが、そういう宣伝をされる作品は、たいていスカだ(笑)。
案の定、ストーリーは一昔前のRPGのシナリオのような一本道で、主人公の「勇者」が仲間を得て秘宝をゲットしていき、最後に願いがかなえられる、というもの。
うううん、ゲーム好きの宮部さんがご自身でRPGを創作したいと思われた…のかどうか知りませんけど、やっぱりプレイが好きだからって創作力があるとは限らないという典型になったような気がする。
過去に読んだ別の作者の物語で、舞台設定としては同じく「昔からあるRPGのスタイルを使って、勇者が仲間を得て、アイテムをゲットして、最後に願いを叶える」という物語でありながら、キャラクターの個性と練りこまれた世界観を背景にして魅力的なファンタジーを創り出していたのとは、真逆の出来栄えですわ。
映画のほうは、さすがにあの長い物語を二時間に詰め込んだだけあって、秘宝のゲットの途中経過が省略されていて(原作ではどうやら長々と書かれていたらしい)、余計にそれが「これはダイジェスト版かいっ」という感想につながってしまったと思う。
キャラの声は、芸能人が多かったせいか浮いた印象でしっくりこないし…。
ただ、絵だけはかなーり綺麗でした。
一定のクオリティ、とはいえるかもしれないが、積極的に観たいと思える作品ではなかったなあ。
●「エイプリルの七面鳥」
2007年5月1日 映画感謝祭の朝、エイプリルは初めての料理に悪戦苦闘していた。ずっと仲の悪かった母親のジョーイが余命わずかと知ったエイプリルは、家出してからもう何年も会っていない家族をディナーに招待し、七面鳥料理をふるまうことにしたのだ。ところが肝心のオーブンが故障!エイプリルは助けを求めてアパート中を駆け回るのだが…・。家族との仲直りをかけた“エイプリルの七面鳥”は無事焼きあがるのか?
ミニシアターにかかっているときから、ずっと気になって見に行きたかったんだけど…。
さすがに期間限定で上京するのは大変で、タイミングを合わせられなくて見逃したんでありました。
こういう作品、地方では映画館にかからないので、WOWOWでやってくれてすっごく嬉しい。
シーンは、ひたすらエイプリルが七面鳥を焼き上げることができるのか!?を描いています。
彼女の容姿からして料理の下手さは十分伝わってくるし、そこにもってきてオーブンの故障だなんて、先行きの不安感には欠きません(笑)。
そんな彼女がどうやって問題をクリアしていくのか。どうやって、想いを伝えることができるのか、観客は、彼女を応援しながら鑑賞することになります。
チョイ役で出てくる彼女の恋人役のボビーが、とても光ってましたね〜。私、ああいう男性は好きだなあ。
●「綴り字のシーズン」
2007年4月27日 映画宗教学者の父と、科学者の母、学業優秀な長男アーロンと妹のイライザの4人家族は傍目には理想的な家族だった。しかし、イライザが天才的なスペリングの才能を発揮するようになってから、父親はイライザの才能に着目し、彼女以外の家族が目に入らなくなった。そして、長男はヒンドゥー教に傾倒し、母親は過去のトラウマから精神を病んでいく。家族は崩壊しつつあった…。
スペリング・コンテストっていうものに何となく興味をもって見たのでした。
一応映画のあらすじとして家族愛を扱っているらしい(だからスペリングコンテストはメインではない)ってのはわかっていたんだけど…、でももっとコンテストの部分のドラマをみたかったな(^^;。
主人公の父親が傾倒(というか信仰?)していた宗教と、その宗教観について、ちょっと基本情報が足りなかったと思う。
日本人には、神秘主義とかオカルトとかに免疫のない人が多いだろうから、余計にわかりずらいのかも。
アメリカ人なら、この映画だけの情報で理解できるものなんだろうか…?謎だ。
期待していたのとは方向が違った映画だったので、その点では残念だったけど、なんだか不思議な物語に感じたなあ。
●「LIMIT OF LOVE 海猿」
2007年4月22日 映画恋人の環菜との結婚に悩みを抱いている仙崎大輔。そんな折、鹿児島沖3キロで、乗員・乗客620名を乗せた大型フェリーが座礁。沈没まで4時間と言われる中、大輔は救助活動をするため、パニックとなった船の中へ。ところが爆発により、大輔はバディの吉岡、乗客らと船の中に閉じこめられ出口を絶たれる…。
最初の映画もみたしー、TVシリーズもみたしー、ということで鑑賞。
まあ、大体展開は想像できたけどね、一応チェックしとくかって感じでしょうか(笑)。
要救助者のうちの男性が、吹越さんで嬉しい〜。
彼、なんか好きなんだよねえ。
最初、キレぎみでうるさい客だなーって感じだったのが、だんだん実はちょっと可愛いキャラだなって変わっていくのとか、面白かった。ふふふ。
前半の盛り上がりになる1分半の潜水は、事前にあれだけ無理だーとか騒いでいたわりには、あっさりと通過できて、そのあたりもったいなかったかも。
映像も、その間の泳いでるシーンとかなかったし。
てか、全体に海中での救助シーンはなかったよね。
映像としては、主人公の困難も、避難路の確保とかに終始してたし。
最初、潜水士として訓練するところから始まった海猿なのに、この映画では海上保安庁としての仕事(乗客の避難誘導とか)の映像が多くて、もちろんそれも彼らの大切な仕事だっていうのはわかっているけど、映画の映像としては物足りないな〜と感じたのでありました。
余談だけど、フェリーの爆発シーンでCGの煙が微妙に浮いてみえて、あれは笑えた。
●「ホテル・ルワンダ」
2007年4月21日 映画愛する家族を守りたいという想いをきっかけに、1200人もの命を救った一人の男の実話を映画化した感動のヒューマン・ドラマ。1994年、長年続いていた内戦が終結し、ようやく平和が訪れようとしていたルワンダ。しかしある夜、大統領が何者かによって暗殺され、大統領派は対立勢力による犯行として、報復の大虐殺が始まる…。
評判が結構よかったので気になっていたのでした。
漠然とヒーローもののような気がしていたんだけど、違いました。
主人公は、職場ではちょっと有能な、でも普通の人で、最初は自分の家族を助けようという思いだけしかなかったのよね。
ただそれが、偶然というか、成り行きで家族以外の人々のことを助けることにつながっていき、結果的に英雄的行為となって多くの人を救ったのだった、というお話。
ありえない超人的なヒーローの話ではないので、主人公の感情の揺れ方が、とても身近に思えたのはよかったと思います。
●「竜馬の妻とその夫と愛人」
2007年4月1日 映画三谷幸喜が2000年に劇団東京ヴォードヴィルショーに書き下ろした舞台劇を、市川準監督がツボにハマったキャスティングで映像化。せつなくて、笑えて、泣ける、見ごたえたっぷりのラブコメディだ。
時は明治13年。維新の功労者、坂本竜馬の13回忌に出席させるため、新政府の役人でかつての竜馬の部下・覚兵衛(中野貴一)は竜馬の妻であったおりょう(鈴木京香)を尋ねる。おりょうは甲斐性のない情けない男・松兵衛(木梨憲武)の妻となっていたのだが、腰が落ち着かず、竜馬に似た愛人の虎蔵(江口洋介)と駆け落ちを企てていた…。
男と女の愛のすれ違いを、絶妙なシュチュエーションに乗せて描いた脚本が秀逸。そこに市川監督ならではの叙情テイストをたっぷり注ぎ込み、キャスト陣がのびのびとアドリブを演じている。木梨×中井の息の合ったやりとりは必見! どんな男をも引き付けるが、愛した男はすでにこの世にない、おりょうの悲しみを熱演した鈴木京香のいい女っぷりも見事。
脚本が三谷さんだってことで、以前録画したままだったのを発掘したので、観賞。
もともとは劇団東京ヴォードヴィルショーの舞台用に書き下ろした(2000年)もので、その後映画化(2002年)されたのだそうな。
だから、こちらの映画が先なのはわかってるんだけど、鈴木京香とか江口洋介とかが、大河「新選組!」(2004年)のイメージが強くて、ちょっと困った(^^;。
てか、もしかしたらこの映画での彼らのイメージから、大河の配役がふられたのかもしれない、とか思ったりして。
暗殺された竜馬には妻がいたのよね。
最愛の夫を殺された、ひとりの未亡人の悲しい姿を描いた物語でした。
とか書くとすごく綺麗なんだけど(^^;、相変わらずコメディなのは三谷脚本だからでしょうね。
ポイントは、タイトルである妻の夫ってのが竜馬じゃないってところかな?(^^;
最後のオチは、かなり賛否両論あるらしいけど、私は三谷さんらしいオチで嫌いじゃないです。
映画の演出はちょっと脚本と相性があんまり良くない感じでしたけど、まあこういう映画もアリかなってところでした。
三谷ファンなら、チェックするべし。
フィンランドのヘルシンキで日本食堂を経営しているサチエは、図書館で知り合ったミドリを食堂のスタッフに迎える。お客は、日本アニメおたくの青年しかいない店にボチボチ人が集まるように。悩みをかかえたフィンランド人、荷物が出てこなくなって困っている日本人など、個性的なお客さんたちが、かもめ食堂に集まり、サチエたちの温かな心がこもった料理でなごやかな気持ちになっていく。
れっきとした日本映画だが、オールフィンランドロケで、現地スタッフや役者も参加して作り上げた日本とフィンランドのコラボ映画。あせらずマイペースなサチエに小林聡美がピッタリ。また「かもめ食堂」の北欧風のインテリア、シナモンロールやおにぎりなどのお料理もおいしそうで、ビジュアルも十分に楽しめる。国境を超えた人間関係をオシャレで心温まるヒューマンドラマに仕上げたのは荻上直子監督。
映画公開されたときから、ずっと気になっていたんだけど、結局田舎では上映されなかったのでした。
WOWOWでやってくれて、嬉しい。
小林聡美さんともたいまさこさんという、私の中でも大好きな女優さんたちが出てたし、片桐はいりさんもそこに巧く溶け込んでいて、静かながら芯はホットなお話でした。
序盤、日本オタクなフィンランド青年にガッチャマンの歌を教えるところとか、いやあ笑った笑った。
異国の地で日本の食を愛する日本人の、地道で堅実な生き方が、物語を象徴していました。
多分、観る人を選ぶ映画なのかもしれないけど、こういうの、好きな人はすっごく好きだと思います。
20歳のブリュノと18歳のソニアの間に男の子が生まれた。ジミーと名付けた赤ちゃんをソニアは母親らしく世話するが、ブリュノは父親になった実感などなどく、職につかず、盗んだ盗品を売った金で生活をするという変わらぬ毎日だ。そしてソニアが目を離したスキに、彼は赤ん坊を闇取引の女に売ってしまい、そのことを知ったソニアは卒倒。病院に担ぎ込まれてしまう。事の重大さに気づいたブリュノは赤ん坊を取り戻そうとするが…。
子どもが子どもを生んで、親になる。少女は母性に目覚め、かいがいしく面倒をみることでひとつ大人への階段を上るが、男は少年のまま、社会とかかわることもなく、その日暮らしで満足している。そんな主人公の人生の転機をドキュメンタリーのように淡々と追っていくのが本作。主人公が愛する人を失い、焦り、取り戻そうと必死に行動する姿をカメラはジッと映し出す。過剰な演出、説明的セリフはは一切ない。それゆえに、彼の変化、成長が心に染み渡るように伝わってくる。1999年『ロゼッタ』でカンヌ映画祭パルムドール大賞受賞したジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟監督は、2005年、本作で2度目のパルムドール大賞を受賞した。
とても静かな映画です。BGMもすごく少ないし、セリフもあんまり多くはないし。
でも、独特な雰囲気が映画を構成していて、特徴的でした。
序盤、主人公の青年の愚かさに眩暈がするほどですが、しかし素朴であるからこそ、彼女の怒りに直面したときの彼の後悔した顔が素直で、ちょっとびっくりしました。
結局のところ青年は悪人というよりは、ただどうしようもなく子供なのだということが、はっきり見てとれたのです。
淡々と、ドキュメンタリーのように撮られた映画なので、おそらく観る人を選ぶでしょう。
でも私は結構好きだなあって思いました。
●「カレンダー・ガールズ」
2007年3月15日 映画 コメント (2)田舎町の平凡な日々に嫌気がさしていたクリス、夫の病で亡くした悲しみから立ち直れないアニー。親友同士のふたりは、地味な生活に彩りを加えようと、婦人会でヌードカレンダーを作ろうと提案。モデルは自分たち。その勇気ある行動は、英国だけでなく、ハリウッドまで巻き込む大ニュースになる。
1999年に発売され、30万部もの大ヒットとなった婦人会ヌードカレンダーの実話をナイジェル・コール監督が演出。なんといっても茶目っけたっぷりで人間味あふれる女性たちが素晴らしい。その個性に引きつけられ、彼女たちがカレンダー作りに挑戦するきっかけとなる、それぞれのエピソードの描き方もていねいで好感が持てる。50代にして青春しているヒロインたちの笑顔はさわやかで、心地よい感動。ヘレン・ミレン、ジュリー・ウォルターズなどベテラン女優たちが楽しそうに演じているのも微笑ましい。
実話に基づくフィクション映画です。
中年も過ぎた一般の女性たちが、いろんな意味や感情をこめて、ヌードカレンダーを作成した。その経緯を、コミカルに描いた作品。
いやあ、観ていてすっごく思うのは、英国の映画だなあってこと。
決してアメリカ映画じゃ、こういうのは少ないものね。それにやっぱり空気感が独特で、好きです。
好きなシーンは、やっぱりカレンダーの撮影シーン!
夫以外の男性に裸を見せるわけにはいかない夫人たちですが、カメラマンは男性でした。
そこでどうやってカメラマンに裸体を見せないようにして撮影するのかを試行錯誤するのですが、このあたりの流れが本当に面白い(笑)。
彼女たちの葛藤と決意が巧くでてると思います。
あと、ハリウッドにいってからの彼女たちのはしゃぎっぷりも可愛くていいですね〜。
ふふふ、お勧めの一本ですよ。
●「アイス・エイジ2」
2007年2月24日 映画温暖化が進み、氷河期(アイス・エイジ)が今終わろうとしている。
氷の世界から水の世界へと移る中、ウォーター・スライドや波のプールがある公園は、日光浴をしている動物たちでいっぱい。われらがヒーロー達――マンモスのマニー、ナマケモノのシド、サーベルタイガーのディエゴ――も暖かくて氷が溶け出した世界の恩恵を存分に受け、新しい世界を楽しんでいる。
しかし、そのうちにヒーロー達は、温暖化には1つの重大な問題があることに気づくのだった。多くの氷が溶けることによる、間近に迫った大洪水。彼らが楽しく暮らす世界の隣には、明日にも決壊しようとする、まわりが薄い氷だけになったダムがあった……。
たまたま相棒がDVDを借りてきたので一緒に見た。
1が面白かったし。
しかし、1はひとつの話としてちゃんと簡潔していたし、氷河期というある意味閉鎖された空間での密室劇的な物語だったわけで、その続編って一体どうなるんだろうと思っていたら、これが思いっきり違う物語になっていてびっくりした。
マンモス、ナマケモノ、サーベルタイガーの三人組は確かにメインで登場し、彼らの友情を軸にお話が展開するというのは、続編としての設定でしょうけど、それ以外は全然別物。
このお話を続編として作った理由が、1の人気を受けての柳の下のドジョウを狙った以外に思いつかないもんね。
なんだか勿体なかった。
物語に散らばるエピソードには、ノアの箱舟だとかアダムとイブだとかみにくいあひるの子(…ちょっと違うかな)だとか、どこかで聞いたことのある展開が、きっつきつに詰め込まれており、1でも(おそらく)人気のあったリスとどんぐりのシーンも健在。
というか、あのリスのエピソードは、クライマックスの黄金の門のあたりまでくると、なんだか狙いすぎてクドいぐらいでした。
気軽に見たかったので、音声は日本語吹き替えでみました。
1は英語で聞いていたので気がつかなかったけど、サーベルタイガーは竹中さんだったのね。これは結構イメージにあってたなあ。
声といえば。
マンモスのエリー@優香は声がすごく若くて、マニー@山寺宏一の声とのバランスからみると、どうもしっくりこなくて…。
後日、英語版の声を聞いたら、エリーの声がかなり落ち着いた大人の声でびっくり。
優香の声が悪いんじゃないけど、もうちょっとオリジナルの声の雰囲気にあった声優をあてたほうがよかったんじゃないかなー。
日本語のほうの声だと、まるで援助交際的な(笑)年の差に思えたよ。
やはり、続編ものはコケルの法則は、そうそう簡単には破られないものだわねえ。
1995年の「夜会」での上演の後その好評振りが話題になり、1996年には長編小説として発表。中島みゆき原作の感動のラブストーリーが待望の映画化。
劇場公開は、うちの田舎ではやってくれなかったんですよ(涙)。
それでDVDになるのを待ってたのに、全然そんな気配もなくって残念だなーと思っていたら、ようやくの発売。
みゆきさんの夜会では、『シャングリラ』とこの『2/2(にぶんのに)』が好き。
このストーリーは、夜会では二回やっていて、初演では主人公の莉花をメインに、再演では彼女を愛する男性が彼女の過去を辿る物語をメインに語られていたんですね。
映画は、その夜会をベースにみゆきさん本人が小説として書き下ろしたものを原作にしているということで、どういう演出で物語が構成されていくのかを楽しみにしていたのでした。
で、映画の感想。
…う、うーん…(^^;。
これは…商業映画としてはコケた、というのは物凄くわかる気がする…(^^;。
なんかねえ。
中途半端にサイコホラーになってるんだよなあ。
舞台では、主演がみゆきさんだったこともあって、主人公の女性の謎に迫る部分もありつつ、コミカルな描写もあったりして、見ていてメリハリがあったのよね。
しかし、映画監督は彼女の悲劇とミステリ要素を丁寧にとりたかったのかもしれないけど、静かで雰囲気のある物語になってました。
これが…なんだか、場がもたついて観えた…んだよなあ。
俳優さんたちは、それぞれ巧く演じていたような気はするんだけど、なんだかアレレと思っているうちに、え?もう終わり?みたいで、インパクトに欠けていたように思った。
…残念。
あと、映画独自の設定とかあったんだけど、この映画、基本的にみゆきさんファンが客の多くを占めるのだろうから、ああいう変更は受け入れ難いと思うんだけどなあ。
特に、莉花の名前の秘密が入ってないとか、トラウマの原因が全然違うとか、彼との過去の絆とか…、いらないよソレ、みたいなものが多かった気がする。
そして、中途半端に日向先生の原稿が落ちたエピソードとか入っていて、あの映画の物語にその名前は意味ないような…とか…。
まあとにかく、映画としては…勿体無いとしか言いようがない、って感じでした。
残念。
あー、口直しに夜会のDVD観たい、とか思っちゃったよ。
●「SHINOBI」
2007年1月20日 映画仲間由紀恵、オダギリジョー主演で贈る、哀しい宿命を背負った伊賀流と甲賀流の忍たちの壮絶なバトルを描いたラブスペクタクル大作。戦うことを宿命付けられてきた伊賀と甲賀の忍たち。その両家の後継者が、互いの身分を知らずに恋に落ちる。だが、時の権力者の命によって、両家の全面対決を余儀なくされる。果たして二人の想いは…。
ジョーだし…(笑)。
ストーリーはないようなものですな(笑)。
これはアクション映画…なんだろうなあ。
10人の得意能力をもった忍者の対決がメインのお話です。
なんだかジャンプっぽい感じ。
映像はかなりきれいでした。
緑の濃い森の中の描写だとか、仲間美由紀やジョーの瞳の色だとか。
物語に関しては、もう少し村の人たちの描写を増やして、服部半蔵の思惑を丁寧に描いていけば、深みが出たように思う。
もしかして、山田風太郎の原作のほうはそういう部分も丁寧に描いてあったのだろうか??
ともかく、二時間の映画として、アクションに絞って組み立てたのは、これはこれでアリなのかもしれないけど、個人的にはかなーり物足りなかったです。