▼野田MAP『足跡姫 ~時代錯誤冬幽霊(ときあやまってふゆのゆうれい)~』
2017年2月4日 演劇久々の野田MAP。
今回は事前情報として、亡き勘三郎さんへのオマージュということでしたので、どういう感じかな~と楽しみにしていました。
単なる友情から、彼を取り上げる野田さんではないだろうしね、という期待。
主演は宮沢りえ@足跡姫、その弟@妻夫木聡、助演に古田新太、佐藤隆太、中村扇雀。
俳優さんたちの実力は折り紙つきなので、安心して見られました。
ストーリーは、最近の野田さんでは珍しくなったエンタメよりのお話。
勘三郎さんという、人生をかけて、伝統芸で大衆を喜ばせることに心血注いだ人を描くのに、とてもふさわしい舞台装置(としての物語)。
得意の言葉遊びも軽々と、笑わせたり、ドキっとしたり、それでも低通するするのは真摯に命と心をかけて、まっすぐに向き合って生きる、表現者のその姿。
二時間半の大作で、途中休憩を挟んで、たっぷり堪能してきました。
そうそう、パンフレットの野田さんの前書き?が面白かったよ。
勘三郎さんとのエピソードの話なんだけど、あの足跡が残っていたら、それはそれで面白かっただろうな、と思わされました。ふふふ。
今年は「表へ出ろいっ」の英語版もやるようで、ちょっとそちらも楽しみです。
今回は事前情報として、亡き勘三郎さんへのオマージュということでしたので、どういう感じかな~と楽しみにしていました。
単なる友情から、彼を取り上げる野田さんではないだろうしね、という期待。
主演は宮沢りえ@足跡姫、その弟@妻夫木聡、助演に古田新太、佐藤隆太、中村扇雀。
俳優さんたちの実力は折り紙つきなので、安心して見られました。
ストーリーは、最近の野田さんでは珍しくなったエンタメよりのお話。
勘三郎さんという、人生をかけて、伝統芸で大衆を喜ばせることに心血注いだ人を描くのに、とてもふさわしい舞台装置(としての物語)。
得意の言葉遊びも軽々と、笑わせたり、ドキっとしたり、それでも低通するするのは真摯に命と心をかけて、まっすぐに向き合って生きる、表現者のその姿。
二時間半の大作で、途中休憩を挟んで、たっぷり堪能してきました。
そうそう、パンフレットの野田さんの前書き?が面白かったよ。
勘三郎さんとのエピソードの話なんだけど、あの足跡が残っていたら、それはそれで面白かっただろうな、と思わされました。ふふふ。
今年は「表へ出ろいっ」の英語版もやるようで、ちょっとそちらも楽しみです。
▼舞台『デルフィニア戦記/第一章』
2017年1月25日 演劇茅田さんの新刊に入っていたチラシで興行を知って、かなり迷ったけどポチリとしてみたら、チケットゲットできたので、行ってきましたよ。
ウォル役が仮面ライダードライブのハート様@蕨野さんで、Twitterで髪を伸ばして準備しているというのは見てたけど、外見はかなり雰囲気が合ってて、上演前から期待しちゃったのでした(笑)
舞台そのものは、商業演劇の形かなあ。
役者さんたちの声がマイク越しだったので、折角舞台に近い席だったのに、ちょっと残念な感じ。
あと、演出が若干ミュージカルっぽいところがあって、そこはちょっとびっくりした。
第一部の内容を二時間ちょい?に突っ込んでるので、かなり端折っていて、ウォルと城から逃げた序盤(リィがウォルを放り投げてキャッチするアレ)がないままナシアスと合流、ドラ将軍とシャーミアンともすんなり合流、バルロの袋詰めはあったけどヘンドリック将軍の袋詰めは省略、ガレンス大隊長も省略、イブンはいつの間にか合流w…まあ仕方ないわなあ。
それでも、フェルナン伯爵の奪還シーンとか、カリンさんの告発のシーンとか、生で聞くと迫力があってよかったですね。
セリフは、ほぼ原作に忠実だったのも、嬉しかったな。
キャストの外見は、ナシアスは笑っちゃったけど、これは少女マンガキャラは二次元にならないという意味なので、まあ仕方ない(笑)。あとは、随分頑張って似せてたと思う。
ウォル@蕨野さんが一番似てた。
逆に、バルロの人が外見が全然違ってて、最初誰だかわからなかったよ(^^;。
あと、ペールゼン侯爵は挿絵だと細身のインテリなイメージだったけど、俳優さんは四角い顔の貫禄あるおじさんだった。こちらも最初わからなかったけど、声は個人的にイメージ通りだったな。
カリンは、女優さんが若くてもうちょっと老けメイクでもよかったかな~(^^;。
俳優さんたちは、覚悟して観たせいか、わりと頑張っていたと思う。特にペールゼン侯爵@山本亨さんは巧かったと思う。ウォル@蕨野さんもよかった。ブルクス@大原康裕さんと、カリン@大沢逸美も雰囲気があったね。リィ@佃井皆美さんのアクションもなかなか堂々たるものでした。
タイトルに第一章ってついてるのは、興行的にうまくいったら次をやるってことなんだろうなあ。
ここ数年、茅田プロジェクトはいろいろリアル路線でのイベントを多くやってるし。
第二章ってことになれば、ようやくファロットも出てくるから、はてさて、どうなることか。
…でも多分情報が入ってきたら、そしてうっかりチケットゲットできたら、また見ちゃいそう…。
ウォル役が仮面ライダードライブのハート様@蕨野さんで、Twitterで髪を伸ばして準備しているというのは見てたけど、外見はかなり雰囲気が合ってて、上演前から期待しちゃったのでした(笑)
舞台そのものは、商業演劇の形かなあ。
役者さんたちの声がマイク越しだったので、折角舞台に近い席だったのに、ちょっと残念な感じ。
あと、演出が若干ミュージカルっぽいところがあって、そこはちょっとびっくりした。
第一部の内容を二時間ちょい?に突っ込んでるので、かなり端折っていて、ウォルと城から逃げた序盤(リィがウォルを放り投げてキャッチするアレ)がないままナシアスと合流、ドラ将軍とシャーミアンともすんなり合流、バルロの袋詰めはあったけどヘンドリック将軍の袋詰めは省略、ガレンス大隊長も省略、イブンはいつの間にか合流w…まあ仕方ないわなあ。
それでも、フェルナン伯爵の奪還シーンとか、カリンさんの告発のシーンとか、生で聞くと迫力があってよかったですね。
セリフは、ほぼ原作に忠実だったのも、嬉しかったな。
キャストの外見は、ナシアスは笑っちゃったけど、これは少女マンガキャラは二次元にならないという意味なので、まあ仕方ない(笑)。あとは、随分頑張って似せてたと思う。
ウォル@蕨野さんが一番似てた。
逆に、バルロの人が外見が全然違ってて、最初誰だかわからなかったよ(^^;。
あと、ペールゼン侯爵は挿絵だと細身のインテリなイメージだったけど、俳優さんは四角い顔の貫禄あるおじさんだった。こちらも最初わからなかったけど、声は個人的にイメージ通りだったな。
カリンは、女優さんが若くてもうちょっと老けメイクでもよかったかな~(^^;。
俳優さんたちは、覚悟して観たせいか、わりと頑張っていたと思う。特にペールゼン侯爵@山本亨さんは巧かったと思う。ウォル@蕨野さんもよかった。ブルクス@大原康裕さんと、カリン@大沢逸美も雰囲気があったね。リィ@佃井皆美さんのアクションもなかなか堂々たるものでした。
タイトルに第一章ってついてるのは、興行的にうまくいったら次をやるってことなんだろうなあ。
ここ数年、茅田プロジェクトはいろいろリアル路線でのイベントを多くやってるし。
第二章ってことになれば、ようやくファロットも出てくるから、はてさて、どうなることか。
…でも多分情報が入ってきたら、そしてうっかりチケットゲットできたら、また見ちゃいそう…。
▼デルフィニア音楽祭
2014年12月7日 演劇ジャンルは舞台になってますが、別にお芝居な舞台ではないんですわ。
まあでも一応ライブかな?ということで。
音楽祭、ということで、どういう構成になるのかなと思っていましたが、結果かなりシンプルなものになってました。
第一部は、放浪の戦士から抜き出したシーンを声優さんたちが朗読。
合間に小編成管弦楽による生演奏。
シーンは、
・序章のリィがデルフィニアに来てすぐ、ウォルに会うまでの夢のシーン
・フェルナン伯爵とリィの会話
・ナシアスがバルロの説得に失敗した剣戟のシーン
・ウォルが王の息子でなくてもいいと言い切ったリィと復讐を誓うシーン
・城を去ろうとするリィをウォルが養女にして引き止めるシーン
どれも、ファンならすぐに場面が浮かぶ有名なところですな。
フェルナン伯爵のシーンでは、終わってから鼻をすする音が響き、ラストの「そんな法律、ばかばかしくて誰も書かなかったんだ!!」では笑い声が広がる、本当に好きな人たちばっかりの集団だったなあと思い返してまた笑えます(^^;。
第二部は、紅蓮の炎の後日談というか、隙間な物語。
こちらは後日DVDが発売されるらしいいので、詳細は略。
多分DVDにこのシーンを含む短編が収録され…てほしいなあ(笑)。
みたのは、昼の公演。
場所をテキトーにしか調べてなかったので、路上の周辺地図に頼りながらうろうろ探してしまいました。
東京のこういうインフォメーションは充実されていて凄いわ。
ちゃんとたどり着けた(笑)。
ホールでは、グッズ列と入場列と別れてたんだけど、入り口エスカレータ近くまでいかないとわからないという不親切。
おかげで一番後ろに素直に並んでたら、実はグッズ列だったという落ち。
列の後ろで種類が分かるようにしてよ~。もう。
で、途中から入場列に並んで(というか、こっちはほとんど列が終わってた状態だった)、入場しました。
というわけで、グッズだけ欲しい人は、買い物だけできたみたいだけど、それってどこかに案内があったのかなあ。
私は、最初はそのまま自分の席に直行。
途中15分の休憩では、グッズコーナーががらがらに空いてたので、少しだけ覗いてみました。
紅茶とかキャラクターキーホルダー、デルフィニア紋章のしおり、とかだったかな。結局買わなかったけど。
あとは書籍がいくつかと、デルフィニア音楽祭のDVD予約受付窓口。
DVDは迷ったけど、これもお布施と思って(笑)予約してきましたわ。
夜の部と昼の部で一部違いがあるらしいし。
一応予約特典があるようです(特典内容は未定でした)。
来年の4月ぐらいに発売だとか。
次の新刊に詳細がのるのかしらん。
やっぱり声優さんによる朗読って、凄いなあって思いましたよ。
キャラの演じ分けが抜群だし、感情表現もピカイチ。
はじめ、リィの声が女の子すぎると思ったけど、でも放浪の戦士の頃っていったら14歳の少女だったんだもんね、そりゃそうだわ、と一人で納得。
大川さんのどっしりしたウォルも貫禄がありつつ、若々しさも感じられて、段々慣れてきましたわ(笑)。
今回、一番気に入ったのはナシアス@西田雅一さんでした。朗読の際に、自分のキャラ以外にナレーションや他の役のセリフを言ったりしてたんだけど、これが巧い!バルロが泣きながらナシアスに切りつけたときの呼吸とか、ドラ将軍の老いた声とか、感動したわー。
行く前はどんな感じになるかな~とちょっと冷めた感覚だったんだけど、ちゃんと楽しめて本当によかった。
そして、CDでドラマを聴いてたときは恥ずかしくて困ってたけど、ライブではそんなことなくてよかった(笑)。
そうそう。
舞台での朗読中、舞台袖の小さな窓から覗き込んで、舞台と客席を眺めていたのは…多分茅田さん…だったと思う(^^;。
丁度見える位置の席だったんですわ。
堪能してらしたようで、何となくこちらも嬉しくなってしまいました(^^)。
では、また。
まあでも一応ライブかな?ということで。
音楽祭、ということで、どういう構成になるのかなと思っていましたが、結果かなりシンプルなものになってました。
第一部は、放浪の戦士から抜き出したシーンを声優さんたちが朗読。
合間に小編成管弦楽による生演奏。
シーンは、
・序章のリィがデルフィニアに来てすぐ、ウォルに会うまでの夢のシーン
・フェルナン伯爵とリィの会話
・ナシアスがバルロの説得に失敗した剣戟のシーン
・ウォルが王の息子でなくてもいいと言い切ったリィと復讐を誓うシーン
・城を去ろうとするリィをウォルが養女にして引き止めるシーン
どれも、ファンならすぐに場面が浮かぶ有名なところですな。
フェルナン伯爵のシーンでは、終わってから鼻をすする音が響き、ラストの「そんな法律、ばかばかしくて誰も書かなかったんだ!!」では笑い声が広がる、本当に好きな人たちばっかりの集団だったなあと思い返してまた笑えます(^^;。
第二部は、紅蓮の炎の後日談というか、隙間な物語。
こちらは後日DVDが発売されるらしいいので、詳細は略。
多分DVDにこのシーンを含む短編が収録され…てほしいなあ(笑)。
みたのは、昼の公演。
場所をテキトーにしか調べてなかったので、路上の周辺地図に頼りながらうろうろ探してしまいました。
東京のこういうインフォメーションは充実されていて凄いわ。
ちゃんとたどり着けた(笑)。
ホールでは、グッズ列と入場列と別れてたんだけど、入り口エスカレータ近くまでいかないとわからないという不親切。
おかげで一番後ろに素直に並んでたら、実はグッズ列だったという落ち。
列の後ろで種類が分かるようにしてよ~。もう。
で、途中から入場列に並んで(というか、こっちはほとんど列が終わってた状態だった)、入場しました。
というわけで、グッズだけ欲しい人は、買い物だけできたみたいだけど、それってどこかに案内があったのかなあ。
私は、最初はそのまま自分の席に直行。
途中15分の休憩では、グッズコーナーががらがらに空いてたので、少しだけ覗いてみました。
紅茶とかキャラクターキーホルダー、デルフィニア紋章のしおり、とかだったかな。結局買わなかったけど。
あとは書籍がいくつかと、デルフィニア音楽祭のDVD予約受付窓口。
DVDは迷ったけど、これもお布施と思って(笑)予約してきましたわ。
夜の部と昼の部で一部違いがあるらしいし。
一応予約特典があるようです(特典内容は未定でした)。
来年の4月ぐらいに発売だとか。
次の新刊に詳細がのるのかしらん。
やっぱり声優さんによる朗読って、凄いなあって思いましたよ。
キャラの演じ分けが抜群だし、感情表現もピカイチ。
はじめ、リィの声が女の子すぎると思ったけど、でも放浪の戦士の頃っていったら14歳の少女だったんだもんね、そりゃそうだわ、と一人で納得。
大川さんのどっしりしたウォルも貫禄がありつつ、若々しさも感じられて、段々慣れてきましたわ(笑)。
今回、一番気に入ったのはナシアス@西田雅一さんでした。朗読の際に、自分のキャラ以外にナレーションや他の役のセリフを言ったりしてたんだけど、これが巧い!バルロが泣きながらナシアスに切りつけたときの呼吸とか、ドラ将軍の老いた声とか、感動したわー。
行く前はどんな感じになるかな~とちょっと冷めた感覚だったんだけど、ちゃんと楽しめて本当によかった。
そして、CDでドラマを聴いてたときは恥ずかしくて困ってたけど、ライブではそんなことなくてよかった(笑)。
そうそう。
舞台での朗読中、舞台袖の小さな窓から覗き込んで、舞台と客席を眺めていたのは…多分茅田さん…だったと思う(^^;。
丁度見える位置の席だったんですわ。
堪能してらしたようで、何となくこちらも嬉しくなってしまいました(^^)。
では、また。
▼演劇集団キャラメルボックス 2012サマーツアー「アルジャーノンに花束を」
2012年8月4日 演劇
最近キャラメルが続いてますが、それは私の大好きな古典SFの舞台化が続いているせいですよ。
アルジャーノンをやるとなったら、見ないわけにはいきますまい(笑)。
今回、主役のチャーリー&アリスがダブルキャストだったので、一日で見れるなら見よう!ということでチケットをゲットしてみることがかないました。
昼にアクアチーム、夜にイグニスチームでした。
物語は有名なので、省略。
とても原作を大事にアレンジされた舞台だったと思います。
あの長編を二時間に収めるのは、さすが脚本家の腕ですね。
後半に進むに従い、涙が止まらず、いやもうマイッタわ。
終わってから顔が酷いことになってましたよ(^^;。
どちらも面白く巧みな芝居だったと思うけど、個人的に好きだなって思ったのはイグニスのほうかな。
チャーリーの強さが魅力的でした。
この物語で、私は毎回読んだりするたびにアリスという女性の強さの根拠がどこにあるんだろうと思います。
単なる(というのも御幣はあるでしょうが)愛情だけで、階段を急速に上がりそして落ちていくチャーリーとあんなにも向き合えるのかなあ、と。
そして、最後には「あなたを忘れるわ」と言い切る芯の強さと潔さとチャーリーへの誠実さが、たまらなく魅力的にうつりました。
原作は何度も読んだけれども、舞台はまた違ったエネルギーで訴えてきますね。
見てよかったです。
アルジャーノンをやるとなったら、見ないわけにはいきますまい(笑)。
今回、主役のチャーリー&アリスがダブルキャストだったので、一日で見れるなら見よう!ということでチケットをゲットしてみることがかないました。
昼にアクアチーム、夜にイグニスチームでした。
物語は有名なので、省略。
とても原作を大事にアレンジされた舞台だったと思います。
あの長編を二時間に収めるのは、さすが脚本家の腕ですね。
後半に進むに従い、涙が止まらず、いやもうマイッタわ。
終わってから顔が酷いことになってましたよ(^^;。
どちらも面白く巧みな芝居だったと思うけど、個人的に好きだなって思ったのはイグニスのほうかな。
チャーリーの強さが魅力的でした。
この物語で、私は毎回読んだりするたびにアリスという女性の強さの根拠がどこにあるんだろうと思います。
単なる(というのも御幣はあるでしょうが)愛情だけで、階段を急速に上がりそして落ちていくチャーリーとあんなにも向き合えるのかなあ、と。
そして、最後には「あなたを忘れるわ」と言い切る芯の強さと潔さとチャーリーへの誠実さが、たまらなく魅力的にうつりました。
原作は何度も読んだけれども、舞台はまた違ったエネルギーで訴えてきますね。
見てよかったです。
▼キャラメルボックス2012スプリングツアー「容疑者Xの献身」
2012年6月2日 演劇高校の数学教師・石神哲哉は、ある夜、不審な物音を聞く。アパートの隣室に住む花岡靖子の部屋で何か起きたらしい。石神は靖子の部屋のドアをノックする……。隅田川の河川敷で男の死体が発見される。捜査に乗り出す警視庁捜査一課刑事・草薙俊平。やがて、捜査線上に、被害者の元妻・花岡靖子が浮かび上がる。草薙は大学時代の友人で、帝都大学理学部物理学科の准教授・湯川学に協力を求める。湯川は靖子の隣室に住む男の名前を聞いて、顔色を変える。石神哲哉。それは湯川の大学時代の友人、そして、湯川が出会った中で最高の頭脳を持つ男だった……。
映画にもなってるし、有名な東野さん原作のミステリなので、ストーリーは既知な人は多いと思います。
私も映画版は見ました。
私はガリレオは福山さんの印象が強かったので、舞台を見るまではそのあたりの印象が残って違和感になったら嫌だなあって思っていたんだけれども、これが意外にアッサリとクリアしまして。
舞台の湯川先生が、しっかり落ち着いた発声の役者さんで、これが凄い自分好みだったのよね(笑)。ちょっと小柄だったのが役のイメージと違ったけれども、直ぐに慣れたし。
あとは、石神役の人も冴えない中年の数学屋って雰囲気がバッチリ似合ってて(…どんな雰囲気だよ(^^;)ジワジワと物語に引き込まれていきました。
キャラメルボックスの舞台ってのに、やっと慣れてきたという気もします。
これまで私が見てきたのって、結局は小劇団のクセのある舞台が多かったので、こういう魅せ方のとてもうまい舞台ってのもあるんだな~って感じで。
大手の商業演劇とも違うんだけれども、ある意味とても大衆的で、分かりやすく親しみやすい舞台って、個人的に凄い新鮮だなあ(笑)。
夏のサマーツアーもチケットゲットしました。
アルジャーノンがどう料理されるのか、楽しみです。
▼キャラメルボックス・アーリータイムス「無伴奏ソナタ」
2012年5月26日 演劇すべての人間の職業が、幼児期のテストで決定される時代。クリスチャン・ハラルドスンは生後6ヶ月のテストでリズムと音感に優れた才能を示し、2歳のテストで音楽の神童と認定された。そして、7歳の時、両親と別れて、森の中の一軒家に移り住む。そこで自分の音楽を作り、演奏すること。それが彼に与えられた仕事だった。彼は「メイカー」となったのだ、メイカーは既成の音楽を聞くことも、他人と接することも、禁じられていた。ところが、彼が30歳になったある日、見知らぬ男が森の中から現れた。男はクリスチャンにレコーダーを差し出して、言った。「これを聴いてくれ。バッハの音楽だ……」
「夏への扉」を見てから、キャラメルボックスのDMが届くようになりまして。
相棒は気に入ってその後何度か観てるようですが、私は以降ご無沙汰していた状態。
そこに「無伴奏ソナタ」ですよ!オースン・スコット・カード大好きな私が見ないわけにはいかないでしょう!(笑)。
脚本の成井さんの好きなSFって結構私の好みとかぶってるのよねぇ。先の「夏への扉」もそうだし、今度やる「アルジャーノン~」もそうだし。過去にやった「スキップ」とか…ねぇ。
まあそんなわけで、期待しての観劇でした。
東京グローブ座は初めての場所でした。
名前はよく聞く有名なハコなのは知ってたので、実際に言ってみて、思ったよりも小さめの劇場でちょっとびっくり。
今回二階席でしたが、パブリックシアター並みに高低差のある座席で見やすかったです。
舞台を俯瞰してみられたので、俳優さんの細かな表情と引き換えに、ストーリー全体と演出を堪能できました。
物語は短編を元にしてあるだけあって、かなり忠実。
もともとカードは物語の中にテーマを分かりやすく見せる人なので、そのあたり舞台でも鮮明になっていました。
舞台設定が古いアメリカSFにありがちなのも、学生時代から翻訳SFにハマっていた私にはくすぐったい懐かしさでしたね(笑)。
最後には落涙、目がはれちゃってどうしようかって思ったわ(^^;。
帰り道、同行者とまともに顔を合わせるのが恥ずかしくって、まいった。
短い期間の公演ですが、見られてよかったです。
原作をもう一回読みたくなりました。
追記:
紹介文はキャラメルボックスのWebページからひっぱってきたのですが、(句読点がおかしいのはともかく)あらすじが間違ってるよ。
クリスは二歳で両親と離れて暮らすことになり、その後28年間メイカーとしての人生を歩みました。二歳の子どもを手放す両親の嘆きと子どもへの責任と人生の選択肢についての考え、なかなか印象的なシーンでした。
パブリックシアターの三階って、私は結構好き。
傾斜がかなりあるので、高所恐怖症の人は辛いでしょうけど、背の低い私には前の人の頭がほぼ絶対かぶらないここの劇場の三階は有り難いのよね。
席の配置の問題で見えないのは許せるけど、前の人(近くの人)との身体的な問題で舞台が見えないって、個人的にもの凄く許せない(^^;。何故かね、うん。
そんなわけで、一階最終列の補助椅子席と、三階A席の選択肢だった当日券では、当然三階をゲット。
会場に入ってから、補助椅子席を確認してみたら、最終列の椅子と同じ平面にパイプ椅子だったので、これだと多分私には全然見えない可能性大だったことを実感。
やっぱり三階にして正解でしたわ~。
というわけで、多少端の席でしたけど、舞台そのものは完全に俯瞰できて十分満足しました。
となりの席の人が身を乗り出して一部見えない時があったのですが(ここの席、身を乗り出してはいけません、と必ず事前に注意されるのですが。ルール違反です)、まあそれでも基本的にはちゃんと見られたからヨシ。
さてさて。
舞台は、夏目漱石がイギリスに留学していた時の物語。
慣れない言葉の壁に打ちのめされている金之助(後の漱石)と、その下宿先で働くアニーとの恋物語。
今回、目立っていたのは浅野さんと大泉さんかなあ。
なんというか、萬斎さんの安定した素晴らしさには実績もあるし、以前舞台を見たことがあるので巧さも実感できているし。深津さんも同じくで、安定したレベルは安心して見られるもので、その意味でもちろん満足はあったけど、意外性はなくてね(いや、巧いレベルで安定してるから、それだけでも凄いということに変わりはないよ)。
しかし、私にとって大泉さんの生舞台は初めてだから。
どうでしょうとか、ドラマとかでみた面白さが、そう変わらずに楽しめた舞台って、私の数少ない喜劇経験では明石家さんまさんぐらい…(^^;。あ、加藤茶と志村けんもそうだ。
ともかく、生舞台でもちゃんと面白いってのは、やっぱり上手いんだろうな、と思いました。
三谷さんの無茶ぶりも文句いいつつ頑張っちゃうところとか(笑)。
浅野さんの巧さはもちろん既知ではありましたけど、今回は役として目立ってましたねぇ。
金之助@萬斎さんの「イギリス人が全部同じ顔に見える」には爆笑!こういう三谷節、やっぱり好きだわ~。
ひとりで11役の大奮闘でしたが、私が好きだったのは下宿先の女主人の妹(笑)。あとエリザベス女王もよかったです。あ、あとあと、Mr.ジャックも。
コメディらしく、ところどころ声を上げて笑ってしまって、楽しいお話でしたが、クライマックスが寂しいお話でした。
金之助に妻子がいるんだから、こうなるのも仕方がないとはいえ…。弟思いのアニーが、最初は愛に忠実に…しかし金之助が揺らいだことから、弟の尻拭いに覚悟を決める…あの流れがねぇ…。深津さんのアニーの愛らしさと魅力全開でしたわ。
ところで、舞台中アレンジを変えて何度も流れる有名なあの曲。
有名だけあって(?)私も聞いたことはあったんだけど、何の曲なのか思い出せない…。
イギリスつながりで、メアリーポピンズ@ジュリー・アンドリュースかと思ってしまったのですが、後で調べたらマイフェアレディ@オードリー・ヘップバーンでした…(^^;。そりゃそうだ、アニーはコックニー訛りだし。
上演時間は休憩挟んで三時間。三谷さん…長いよ…。
でも充実した満足な三時間でした。
傾斜がかなりあるので、高所恐怖症の人は辛いでしょうけど、背の低い私には前の人の頭がほぼ絶対かぶらないここの劇場の三階は有り難いのよね。
席の配置の問題で見えないのは許せるけど、前の人(近くの人)との身体的な問題で舞台が見えないって、個人的にもの凄く許せない(^^;。何故かね、うん。
そんなわけで、一階最終列の補助椅子席と、三階A席の選択肢だった当日券では、当然三階をゲット。
会場に入ってから、補助椅子席を確認してみたら、最終列の椅子と同じ平面にパイプ椅子だったので、これだと多分私には全然見えない可能性大だったことを実感。
やっぱり三階にして正解でしたわ~。
というわけで、多少端の席でしたけど、舞台そのものは完全に俯瞰できて十分満足しました。
となりの席の人が身を乗り出して一部見えない時があったのですが(ここの席、身を乗り出してはいけません、と必ず事前に注意されるのですが。ルール違反です)、まあそれでも基本的にはちゃんと見られたからヨシ。
さてさて。
舞台は、夏目漱石がイギリスに留学していた時の物語。
慣れない言葉の壁に打ちのめされている金之助(後の漱石)と、その下宿先で働くアニーとの恋物語。
今回、目立っていたのは浅野さんと大泉さんかなあ。
なんというか、萬斎さんの安定した素晴らしさには実績もあるし、以前舞台を見たことがあるので巧さも実感できているし。深津さんも同じくで、安定したレベルは安心して見られるもので、その意味でもちろん満足はあったけど、意外性はなくてね(いや、巧いレベルで安定してるから、それだけでも凄いということに変わりはないよ)。
しかし、私にとって大泉さんの生舞台は初めてだから。
どうでしょうとか、ドラマとかでみた面白さが、そう変わらずに楽しめた舞台って、私の数少ない喜劇経験では明石家さんまさんぐらい…(^^;。あ、加藤茶と志村けんもそうだ。
ともかく、生舞台でもちゃんと面白いってのは、やっぱり上手いんだろうな、と思いました。
三谷さんの無茶ぶりも文句いいつつ頑張っちゃうところとか(笑)。
浅野さんの巧さはもちろん既知ではありましたけど、今回は役として目立ってましたねぇ。
金之助@萬斎さんの「イギリス人が全部同じ顔に見える」には爆笑!こういう三谷節、やっぱり好きだわ~。
ひとりで11役の大奮闘でしたが、私が好きだったのは下宿先の女主人の妹(笑)。あとエリザベス女王もよかったです。あ、あとあと、Mr.ジャックも。
コメディらしく、ところどころ声を上げて笑ってしまって、楽しいお話でしたが、クライマックスが寂しいお話でした。
金之助に妻子がいるんだから、こうなるのも仕方がないとはいえ…。弟思いのアニーが、最初は愛に忠実に…しかし金之助が揺らいだことから、弟の尻拭いに覚悟を決める…あの流れがねぇ…。深津さんのアニーの愛らしさと魅力全開でしたわ。
ところで、舞台中アレンジを変えて何度も流れる有名なあの曲。
有名だけあって(?)私も聞いたことはあったんだけど、何の曲なのか思い出せない…。
イギリスつながりで、メアリーポピンズ@ジュリー・アンドリュースかと思ってしまったのですが、後で調べたらマイフェアレディ@オードリー・ヘップバーンでした…(^^;。そりゃそうだ、アニーはコックニー訛りだし。
上演時間は休憩挟んで三時間。三谷さん…長いよ…。
でも充実した満足な三時間でした。
▼演劇集団キャラメルボックス「夏への扉」
2011年3月27日 演劇 コメント (2)原作を読んだのは学生の頃だから、もうストーリーはすっかり忘却の彼方…(^^;。
でも、ハインラインの古典長編SFをどうやって舞台にするのか、そのあたりの好奇心と、もともとキャラメルボックスはエンタメ舞台として有名で興味はあったので、チケをゲットしたのでしたよ。
事前に手に入れたパンフを見ると、ピート@猫役の俳優さんがいることが判明。
そう、主人公と一緒に冬眠する猫はどうするのかなあと思っていたけど、そうか、やっぱり猫役として出てくるのね。
以下、劇団のページより抜粋。
観賞していくにつれ、物語を段々思い出してきました。
そうそう、タイムトラベルなSFはいろいろあるけど、この物語での移動手段は基本がコールドスリープだってのが面白かったのよね。つまり、本人の意識的にはあっという間の未来移動なんだけど、実は時間は正常に過ぎていて周りの世界は動き続けていたという点。
物語の展開は、かなり楽観というかご都合主義的なところが多いんだけど、ミステリィ要素な部分とか、少女とのロマンスな部分とか、このバラエティにとんだ物語は、確かにこれはキャラメルボックス向きな題材だよなあと感じました。
俳優さんたちも、私は始めての方ばっかりでしたが、皆さんそれぞれ達者で、安心感があります。
お気に入りは、やっぱりピート役。
物語中、ピート@猫は前半とクライマックス付近しか出てこないのですが、舞台アレンジとしてピート役の俳優さんが語りを担当していて、その演出もよかったです。
セリフのタイミングとか、オリジナルの音楽とか、お楽しみ要素がタップリで十分堪能しましたよ。
観終わって、原作を再読したいな~と思いました。
いやあ、舞台化、成功だったと思います(^^)。
でも、ハインラインの古典長編SFをどうやって舞台にするのか、そのあたりの好奇心と、もともとキャラメルボックスはエンタメ舞台として有名で興味はあったので、チケをゲットしたのでしたよ。
事前に手に入れたパンフを見ると、ピート@猫役の俳優さんがいることが判明。
そう、主人公と一緒に冬眠する猫はどうするのかなあと思っていたけど、そうか、やっぱり猫役として出てくるのね。
以下、劇団のページより抜粋。
1970年、ダニエル・デイビスは失意のどん底にいた。大学で機械工学を学んだダニエルは、親友と二人で会社を設立。ハイヤード・ガールと名付けたロボットの開発に成功した。が、婚約中の恋人と親友が仕組んだ罠に嵌められ、会社とロボットを奪われたのだ。ダニエルに残されたのは、飼い猫のピートだけ……。彼は裏切り者二人への復讐を誓うが、逆に捕らわれの身となり、コールドスリープの冷凍場に送られてしまう。そして、長い眠りから覚めた時、そこは30年後の、2000年だった!会社は?ロボットは?そして、愛猫ピートは?すべてを失ったダニエルは、起死回生の一手を打つ!
観賞していくにつれ、物語を段々思い出してきました。
そうそう、タイムトラベルなSFはいろいろあるけど、この物語での移動手段は基本がコールドスリープだってのが面白かったのよね。つまり、本人の意識的にはあっという間の未来移動なんだけど、実は時間は正常に過ぎていて周りの世界は動き続けていたという点。
物語の展開は、かなり楽観というかご都合主義的なところが多いんだけど、ミステリィ要素な部分とか、少女とのロマンスな部分とか、このバラエティにとんだ物語は、確かにこれはキャラメルボックス向きな題材だよなあと感じました。
俳優さんたちも、私は始めての方ばっかりでしたが、皆さんそれぞれ達者で、安心感があります。
お気に入りは、やっぱりピート役。
物語中、ピート@猫は前半とクライマックス付近しか出てこないのですが、舞台アレンジとしてピート役の俳優さんが語りを担当していて、その演出もよかったです。
セリフのタイミングとか、オリジナルの音楽とか、お楽しみ要素がタップリで十分堪能しましたよ。
観終わって、原作を再読したいな~と思いました。
いやあ、舞台化、成功だったと思います(^^)。
▼野田MAP「南へ」
2011年3月27日 演劇上演の前に野田さんからのメッセージがありました。
今、この時期に上演を再開したこと、題材が火山であることから地震表現などもありますよ、とか。
Webのほうでも上演することに対してのメッセージは読めます。
→ http://www.nodamap.com/site/news/206
さて。
今回の作品は、去年から続いている「ザ・キャラクター」「表に出ろいっ!」に続く三部作「南へ」。
根源的なテーマは「信じるということ」になるのかな。
物語は火山観測所からスタート。
ここに赴任してきたらしい青年と、謎を秘めた嘘つき女の周りで火山の噴火を巡る騒動が描かれます。
相変わらず、あらすじとしてまとめるのが難しい野田さんの脚本ですが、それにしてもちょっと今回の話はお話としてあまりに片付いてない印象が強かったです。
広げた風呂敷のたたみどころが、分かりづらいっていうか…。
主演は妻夫木聡。「キル」の主演以来ですね。
キルの時は、かなり声が枯れていたり、セリフの音量調節だけで感情が汲み取りにくい声とか、やっぱり映像畑の人は舞台の肉声に弱いなぁという印象が強かったですが、今回はちょっとマシになってました(笑)。
多少滑舌というより声質かなあ、最終列にいた私には聞き取りづらいセリフがあったりしたんですが、まあでも頑張っていたと思います。
蒼井優は、初舞台ということだそうで、やっぱり声が弱かったな。
聞こえないとまでは言わないけど、前を向いてる時と横を向いてるときの音量差が激しい。ただし、野田さん好みの声質な女優ってこともあって(笑)、音そのものの通りがいいので、聞こえてきたときのセリフはとても格好よかったと思います。
演技も、映像で見るのとはまた違った雰囲気が感じられたと思うし。
物語の舞台が火山ってことで、作中何度も地震が表現されるのですが、ちょっとこのあたり個人的には辛かったですねぇ。
演技だって分かって見てるんだけど、頭の片隅ではフラッシュバックのように最近の地震を思い出しちゃって、その度に物語から心が離れていってしまうのが、ちょっとね。
まあでも、これは物語のせいじゃないし、仕方ない。
相変わらずの、マスコミ批判と、神を持たない日本人の描写は、シニカルでした。
嘘つきオオカミ少年が、自分の嘘を本当にしたいために見知らぬ人のために命をかける。
そのどことなく矛盾したような、逆に純粋に見えてしまうような、けれどもどうしようもなく滑稽に見えるクライマックスは、ただ単純に笑ってしまっていいのだろうかと、考えてしまう。
そして、姿を消した北からやってきた少女と、帽子を被って去っていく青年の情景から、観客は一体なにを想像するのか…。
パンフは、珍しく文章が多くてよかったです。
キャストのインタビュー以外に対談とかいろいろあったし。
さて、次は「THE BEE」ですね。
日本版のキャストは半分入れ替え、こちらも楽しみです。
今、この時期に上演を再開したこと、題材が火山であることから地震表現などもありますよ、とか。
Webのほうでも上演することに対してのメッセージは読めます。
→ http://www.nodamap.com/site/news/206
さて。
今回の作品は、去年から続いている「ザ・キャラクター」「表に出ろいっ!」に続く三部作「南へ」。
根源的なテーマは「信じるということ」になるのかな。
物語は火山観測所からスタート。
ここに赴任してきたらしい青年と、謎を秘めた嘘つき女の周りで火山の噴火を巡る騒動が描かれます。
相変わらず、あらすじとしてまとめるのが難しい野田さんの脚本ですが、それにしてもちょっと今回の話はお話としてあまりに片付いてない印象が強かったです。
広げた風呂敷のたたみどころが、分かりづらいっていうか…。
主演は妻夫木聡。「キル」の主演以来ですね。
キルの時は、かなり声が枯れていたり、セリフの音量調節だけで感情が汲み取りにくい声とか、やっぱり映像畑の人は舞台の肉声に弱いなぁという印象が強かったですが、今回はちょっとマシになってました(笑)。
多少滑舌というより声質かなあ、最終列にいた私には聞き取りづらいセリフがあったりしたんですが、まあでも頑張っていたと思います。
蒼井優は、初舞台ということだそうで、やっぱり声が弱かったな。
聞こえないとまでは言わないけど、前を向いてる時と横を向いてるときの音量差が激しい。ただし、野田さん好みの声質な女優ってこともあって(笑)、音そのものの通りがいいので、聞こえてきたときのセリフはとても格好よかったと思います。
演技も、映像で見るのとはまた違った雰囲気が感じられたと思うし。
物語の舞台が火山ってことで、作中何度も地震が表現されるのですが、ちょっとこのあたり個人的には辛かったですねぇ。
演技だって分かって見てるんだけど、頭の片隅ではフラッシュバックのように最近の地震を思い出しちゃって、その度に物語から心が離れていってしまうのが、ちょっとね。
まあでも、これは物語のせいじゃないし、仕方ない。
相変わらずの、マスコミ批判と、神を持たない日本人の描写は、シニカルでした。
嘘つきオオカミ少年が、自分の嘘を本当にしたいために見知らぬ人のために命をかける。
そのどことなく矛盾したような、逆に純粋に見えてしまうような、けれどもどうしようもなく滑稽に見えるクライマックスは、ただ単純に笑ってしまっていいのだろうかと、考えてしまう。
そして、姿を消した北からやってきた少女と、帽子を被って去っていく青年の情景から、観客は一体なにを想像するのか…。
パンフは、珍しく文章が多くてよかったです。
キャストのインタビュー以外に対談とかいろいろあったし。
さて、次は「THE BEE」ですね。
日本版のキャストは半分入れ替え、こちらも楽しみです。
▼三谷幸喜生誕50周年スペシャル企画三谷幸喜大感謝祭「ろくでなし啄木」
2011年1月15日 演劇三谷さんの生舞台は、私はこれが二本目。
前回がパルコの「12人の優しい日本人」でしたから、6年前…ぐらいかしらね。
まずは舞台前のアナウンス。
開演10分前に三谷さんと野田さんの掛け合い漫才が聞けます。
ボケの三谷さんと、ツッコミの野田さんが、微妙にズレた掛けあいが、妙に笑える(^^;。
しかしコレで雰囲気がグっと盛り上がって、お芝居への期待が増します。
おはなしは、石川啄木とその愛人トミと啄木の親友テツとが過ごした、ある一日の出来事。
啄木の死後10年たったある日、トミとテツが12年ぶりに再会を果たします。
そして、再会したことで、12年前のあの日、一体、本当には何があったのか、それを解き明かそうとトミが回想を始めることで、物語が進められるのでした。
舞台は三幕構成で、一幕がトミの回想、二幕はテツの回想、三幕が啄木の告白になります。
一幕と二幕の間に15分の休憩アリ。
三人の俳優が表現する舞台は、その少ない人数でありながらも、とても深みがありました。また、俳優さんたち全員の力量がハンパなく凄くって、巧い役者さんの持つオーラというか、影響力を強く感じる、良いライブ感を受け取ることができました。
主演の啄木を演じるのは、藤原竜也。
彼の技量は評判良く、映画や舞台中継によって私も見たことはあったけど、生舞台で見るのは初めて。彼はデビューからして蜷川の秘蔵っ子ってこともあって、蜷川舞台が苦手な私にはこれまで接点がなかったのよね。
それで、今回は彼を見るのも楽しみにしていたのでした。
セリフの重み、複雑怪奇でありながら、どこか子供っぽさを残した、残酷で純粋な啄木を、彼は全身で表現していたと思います。どんな姿勢でも、どんな体勢で演じていても、しっかりと通るあの声@発声は、舞台俳優としては当然だとしても、でも流石!でした。
三幕で陽気にふるまう啄木としての最初の登場シーンは、観客からは意外で、ちょっと戸惑いや違和感を感じそうになる演出でしたが、そんな中でもテンションを高めに舞台をグイっと引っ張っていく力には感心しました。
最期までエゴイスティックでありながらも、人から愛される人物であったことが納得できる、三谷啄木を演じきっていたと思います。
トミは、吹石一恵。テツは中村勘太郎。
吹石さんは、初舞台だそうですが、発声もかなりしっかりしていたし、十分演技も安定感があったと思います。啄木に振り回される愛らしいトミさんも、テツに再会したマダム然とした立ち姿もしっかり印象的でした。
勘太郎さんは、いやあもう、いろんなシーンで勘三郎さんも思い出させられちゃって(^^;。
いや、演技は十分巧いし、引きこまれてはいたんですがね。声質というか、発声というか、演技(ハイテンションな時の身体描写)とか、どれもが若い頃の勘三郎さんの演技にそっくりで。
それはマネしてるとかじゃなくて、血縁者に見える相似性なんだけれどもね、いや、なんかびっくりしました。
テツさんは、序盤ちょっと頭の足りないタイプのキャラかと思いきや、実は生活能力が一番あって、本来的に人生や人間についてしっかり考えて成長している男の人で、その啄木とは違ったキャラクターをちゃんと表現できていました。
三谷さんにしては、珍しくキャラクターのナレーションが多かったり、舞台転換や演出が演劇的(笑)であったり、その意味では三谷舞台らしくないと言えるかもしれません。
でも、物語の根底に潜む笑いの種類だとか、キャラクター達への視線は、やっぱり(当然だけど)三谷さんで、地味だけど面白いストーリーでした。
今年は三谷さんの生誕50周年スペシャルイヤーで、この舞台はその先陣を切ったものです。
全部はムリにしても、あと一つぐらい今年の舞台をみたいなあ。
前回がパルコの「12人の優しい日本人」でしたから、6年前…ぐらいかしらね。
まずは舞台前のアナウンス。
開演10分前に三谷さんと野田さんの掛け合い漫才が聞けます。
ボケの三谷さんと、ツッコミの野田さんが、微妙にズレた掛けあいが、妙に笑える(^^;。
しかしコレで雰囲気がグっと盛り上がって、お芝居への期待が増します。
おはなしは、石川啄木とその愛人トミと啄木の親友テツとが過ごした、ある一日の出来事。
啄木の死後10年たったある日、トミとテツが12年ぶりに再会を果たします。
そして、再会したことで、12年前のあの日、一体、本当には何があったのか、それを解き明かそうとトミが回想を始めることで、物語が進められるのでした。
舞台は三幕構成で、一幕がトミの回想、二幕はテツの回想、三幕が啄木の告白になります。
一幕と二幕の間に15分の休憩アリ。
三人の俳優が表現する舞台は、その少ない人数でありながらも、とても深みがありました。また、俳優さんたち全員の力量がハンパなく凄くって、巧い役者さんの持つオーラというか、影響力を強く感じる、良いライブ感を受け取ることができました。
主演の啄木を演じるのは、藤原竜也。
彼の技量は評判良く、映画や舞台中継によって私も見たことはあったけど、生舞台で見るのは初めて。彼はデビューからして蜷川の秘蔵っ子ってこともあって、蜷川舞台が苦手な私にはこれまで接点がなかったのよね。
それで、今回は彼を見るのも楽しみにしていたのでした。
セリフの重み、複雑怪奇でありながら、どこか子供っぽさを残した、残酷で純粋な啄木を、彼は全身で表現していたと思います。どんな姿勢でも、どんな体勢で演じていても、しっかりと通るあの声@発声は、舞台俳優としては当然だとしても、でも流石!でした。
三幕で陽気にふるまう啄木としての最初の登場シーンは、観客からは意外で、ちょっと戸惑いや違和感を感じそうになる演出でしたが、そんな中でもテンションを高めに舞台をグイっと引っ張っていく力には感心しました。
最期までエゴイスティックでありながらも、人から愛される人物であったことが納得できる、三谷啄木を演じきっていたと思います。
トミは、吹石一恵。テツは中村勘太郎。
吹石さんは、初舞台だそうですが、発声もかなりしっかりしていたし、十分演技も安定感があったと思います。啄木に振り回される愛らしいトミさんも、テツに再会したマダム然とした立ち姿もしっかり印象的でした。
勘太郎さんは、いやあもう、いろんなシーンで勘三郎さんも思い出させられちゃって(^^;。
いや、演技は十分巧いし、引きこまれてはいたんですがね。声質というか、発声というか、演技(ハイテンションな時の身体描写)とか、どれもが若い頃の勘三郎さんの演技にそっくりで。
それはマネしてるとかじゃなくて、血縁者に見える相似性なんだけれどもね、いや、なんかびっくりしました。
テツさんは、序盤ちょっと頭の足りないタイプのキャラかと思いきや、実は生活能力が一番あって、本来的に人生や人間についてしっかり考えて成長している男の人で、その啄木とは違ったキャラクターをちゃんと表現できていました。
三谷さんにしては、珍しくキャラクターのナレーションが多かったり、舞台転換や演出が演劇的(笑)であったり、その意味では三谷舞台らしくないと言えるかもしれません。
でも、物語の根底に潜む笑いの種類だとか、キャラクター達への視線は、やっぱり(当然だけど)三谷さんで、地味だけど面白いストーリーでした。
今年は三谷さんの生誕50周年スペシャルイヤーで、この舞台はその先陣を切ったものです。
全部はムリにしても、あと一つぐらい今年の舞台をみたいなあ。
▽野田秀樹 朝日賞スーパートーク
2010年10月1日 演劇朝日新聞が主催する朝日賞09年度受賞者の一人である野田さんの講演会でした。
二部構成で、最初が野田さんの舞台の映像を交えながら、これまでの作品に絡めつつ野田さんを紹介するといった趣向。
後半は、聴衆からの質問コーナーということで、当日渡された質問用紙に質問を書いて係の人に渡し、野田さんがその質問に答えるというものでした。
一部では、これまで野田さんのおっかけをやってきた人であれば、知ってる話ばかりだったかな。
途中挿入される舞台映像は、パソコンでDVDとかビデオとかかな?、取り込んで編集したものらしく、これがすこぶる調子が悪かったよ。担当の人が不手際で、見ていてちょっとイラついたわ。
遊眠社の解散前後の話とか、英国留学の話、赤鬼からBEEなどの外国の人との文化混流の話などなど。
そういえば、私は野田さんのおしゃべりする姿をほとんど見たことがなかったのでした。
NHKとかWOWOWとかで、作品にまつわるトークはみてるけれども、あれは編集されてるからね。
で、思ったのが、野田さんって意外にしゃべりがスムースじゃ、ない(笑)。
多分、考え考え話すからだと思うのだけれども、一瞬黙りこんでしまったり(そのつなぎの部分で、エーとかアーとか声を出す人もいるけど、野田さんは無言でした)、実は本心を語りたくない様子がアリアリと見えたり(爆)、マスコミ嫌いのオーラをバンバン発揮しながらの講演で、よくもまあマスコミである朝日新聞社のコレを引き受けたものだわ、と笑えたよ。
ふふふ。
その様子は後半も同じで、質問者の質問の本意を、多分わかってるんだろうなと思いながらも答えたくなくて、ノラリクラリと返事をする様子が…(^^;。
「美しいと感じるのは、どういうときですか?」「何でも美しいものは沢山あります」
「最近、とても印象に残ったことがあれば、教えてください」「特にありません。…(ちょっとここで考えて。多分答えがそっけないと自分でも思ったんじゃないかしら)…イヤあるけど、プレイベートなことなので、言いたくありません。」聴衆、爆笑。
まあ、そんな具合(笑)。
個人的にひとつ大きな収穫が。
夏に上演した「ザ・キャラクター」では、野田さんとしては「あれはやってはいけないことだった」「なかったことにしたい」と言っていたこと。
演劇というのは、ああいったテーマを使って大衆に何らかを訴えるというツールではない、と。
もし本気でそう思うのであれば、直接的に行動したほうが、実際影響力もあるし早いのではないか。
演劇で出来ることは、それとは違ったことであり、そして演劇でしか出来ないことをやるのが自分の役目だと思う。
と、そういったような内容だったと思います。
それで、うまく言えないんだけど、私はそれがちょっと嬉しかったな。
いろんな意味で。
ともかく、ちょっと実はどうしようかな…と思っていたんだけど、よかった~、と持ち直した感じです。…意味不明ですな、すみません。
ともあれ、直接野田さんの言葉をいろいろ聞くことが出来たのはいい経験でした。
編集されない言葉って、やっぱり個性が出てイイですね。
二部構成で、最初が野田さんの舞台の映像を交えながら、これまでの作品に絡めつつ野田さんを紹介するといった趣向。
後半は、聴衆からの質問コーナーということで、当日渡された質問用紙に質問を書いて係の人に渡し、野田さんがその質問に答えるというものでした。
一部では、これまで野田さんのおっかけをやってきた人であれば、知ってる話ばかりだったかな。
途中挿入される舞台映像は、パソコンでDVDとかビデオとかかな?、取り込んで編集したものらしく、これがすこぶる調子が悪かったよ。担当の人が不手際で、見ていてちょっとイラついたわ。
遊眠社の解散前後の話とか、英国留学の話、赤鬼からBEEなどの外国の人との文化混流の話などなど。
そういえば、私は野田さんのおしゃべりする姿をほとんど見たことがなかったのでした。
NHKとかWOWOWとかで、作品にまつわるトークはみてるけれども、あれは編集されてるからね。
で、思ったのが、野田さんって意外にしゃべりがスムースじゃ、ない(笑)。
多分、考え考え話すからだと思うのだけれども、一瞬黙りこんでしまったり(そのつなぎの部分で、エーとかアーとか声を出す人もいるけど、野田さんは無言でした)、実は本心を語りたくない様子がアリアリと見えたり(爆)、マスコミ嫌いのオーラをバンバン発揮しながらの講演で、よくもまあマスコミである朝日新聞社のコレを引き受けたものだわ、と笑えたよ。
ふふふ。
その様子は後半も同じで、質問者の質問の本意を、多分わかってるんだろうなと思いながらも答えたくなくて、ノラリクラリと返事をする様子が…(^^;。
「美しいと感じるのは、どういうときですか?」「何でも美しいものは沢山あります」
「最近、とても印象に残ったことがあれば、教えてください」「特にありません。…(ちょっとここで考えて。多分答えがそっけないと自分でも思ったんじゃないかしら)…イヤあるけど、プレイベートなことなので、言いたくありません。」聴衆、爆笑。
まあ、そんな具合(笑)。
個人的にひとつ大きな収穫が。
夏に上演した「ザ・キャラクター」では、野田さんとしては「あれはやってはいけないことだった」「なかったことにしたい」と言っていたこと。
演劇というのは、ああいったテーマを使って大衆に何らかを訴えるというツールではない、と。
もし本気でそう思うのであれば、直接的に行動したほうが、実際影響力もあるし早いのではないか。
演劇で出来ることは、それとは違ったことであり、そして演劇でしか出来ないことをやるのが自分の役目だと思う。
と、そういったような内容だったと思います。
それで、うまく言えないんだけど、私はそれがちょっと嬉しかったな。
いろんな意味で。
ともかく、ちょっと実はどうしようかな…と思っていたんだけど、よかった~、と持ち直した感じです。…意味不明ですな、すみません。
ともあれ、直接野田さんの言葉をいろいろ聞くことが出来たのはいい経験でした。
編集されない言葉って、やっぱり個性が出てイイですね。
▼「ザ・キャラクター」野田MAP
2010年7月10日 演劇
今までの野田さんの扱うセリフは言葉遊びが多くて、そして演劇上でのセリフというスタイルからか、それは韻を踏んだ「音」の重ねが多く取り入れられることが多かった。
それが、今回は漢字をメインとした言葉遊びになっていました。
「俤(おもかげ)の中にいるのは弟」「救いの中には『求』がある」「救われたい魂の中に『鬼』が住む」「月日を経て『魂胆』になる」など。
舞台はある書道教室。
しかし登場人物たちを追っていくことで、実はそこが書道教室の体をした宗教団体だということが伺える。
その閉鎖された空間の中で、次第にエスカレートしていく感情たち。
家元と弟子たちの異常な空気は、どんどんと濃さを増していくのでした。
オイルは9.11、ロープはベトナム戦争、で、今回の話は日本で起こった過去の事件がモチーフです。
事件はとても衝撃的で、マスコミはこぞって連日いろんな情報を発信していたのだけれども、その熱心さもまた異常なほどだったのを覚えています。
それほどに事件の影響が強く大きかったってことなんでしょう。
舞台を見るには、基本的には最初に情報を仕入れてからみることはしません。
だから、今回の舞台も事前にちょこっとだけギリシア神話のモチーフ(?)があるような、そんな断片を聞いたぐらいで、物語がどういうものなのかは知らないまま見ていました。
舞台は、書道教室であったり、ギリシア神話の世界であったり、マドロミの彷徨う空間であったり、様々に場を変え、また交じり合い、していくのですが、その物語が進むにつれて、まさかこの物語はあの「事件」が元になっているのでは…と、ある程度の年齢の人だと思い当たるようになっています。
そして、今度はその想像が出来てしまうと、あの救いのない事件が、この物語でどのように表現されてしまうのか…それに対する悲しみと悲惨さを先に感じてしまって、後半苦しかった…。
主人公マドロミを演じた宮沢りえは、もちろん巧いのですが、個人的には最後まで古田新太が怖かった。
笑ったり、大きな声を出したり、いろんな表現をしていながらも、決して目が笑っていない、異常な冷静さが根底にあって、それがずっと怖くって。
最後まで「スクール水着!」と言っていた彼の、本心はどこにあったのか。
そもそも一般人の持つ本心といった気持ちか感情が、彼にはあったのか。
その、底の見えなさが、やっぱり怖い。
そういう恐怖感というのは、結局のところ「わからない」から湧き上がるんだと思う。
そんなわからない人とも、同じ空気の中、同じ社会の中で暮らさねばならないというのは、本来とてもリスクが大きいことなのかもしれない。
観終わってからも、暫くどろどろといろんな感情が頭の奥のほうでうごめいていた感じがした。
「THE BEE」を見たときには、胸の中のうねりが大きくて息が詰まるようだったのが、今回はそういうのともまた違っていて。
ただ、とにかく、「だから、じゃあ、どうすればいいの?!」と、惑っていた…ような感じ?
相変わらず、野田秀樹にはやられっぱなしです。
それが、今回は漢字をメインとした言葉遊びになっていました。
「俤(おもかげ)の中にいるのは弟」「救いの中には『求』がある」「救われたい魂の中に『鬼』が住む」「月日を経て『魂胆』になる」など。
舞台はある書道教室。
しかし登場人物たちを追っていくことで、実はそこが書道教室の体をした宗教団体だということが伺える。
その閉鎖された空間の中で、次第にエスカレートしていく感情たち。
家元と弟子たちの異常な空気は、どんどんと濃さを増していくのでした。
オイルは9.11、ロープはベトナム戦争、で、今回の話は日本で起こった過去の事件がモチーフです。
事件はとても衝撃的で、マスコミはこぞって連日いろんな情報を発信していたのだけれども、その熱心さもまた異常なほどだったのを覚えています。
それほどに事件の影響が強く大きかったってことなんでしょう。
舞台を見るには、基本的には最初に情報を仕入れてからみることはしません。
だから、今回の舞台も事前にちょこっとだけギリシア神話のモチーフ(?)があるような、そんな断片を聞いたぐらいで、物語がどういうものなのかは知らないまま見ていました。
舞台は、書道教室であったり、ギリシア神話の世界であったり、マドロミの彷徨う空間であったり、様々に場を変え、また交じり合い、していくのですが、その物語が進むにつれて、まさかこの物語はあの「事件」が元になっているのでは…と、ある程度の年齢の人だと思い当たるようになっています。
そして、今度はその想像が出来てしまうと、あの救いのない事件が、この物語でどのように表現されてしまうのか…それに対する悲しみと悲惨さを先に感じてしまって、後半苦しかった…。
主人公マドロミを演じた宮沢りえは、もちろん巧いのですが、個人的には最後まで古田新太が怖かった。
笑ったり、大きな声を出したり、いろんな表現をしていながらも、決して目が笑っていない、異常な冷静さが根底にあって、それがずっと怖くって。
最後まで「スクール水着!」と言っていた彼の、本心はどこにあったのか。
そもそも一般人の持つ本心といった気持ちか感情が、彼にはあったのか。
その、底の見えなさが、やっぱり怖い。
そういう恐怖感というのは、結局のところ「わからない」から湧き上がるんだと思う。
そんなわからない人とも、同じ空気の中、同じ社会の中で暮らさねばならないというのは、本来とてもリスクが大きいことなのかもしれない。
観終わってからも、暫くどろどろといろんな感情が頭の奥のほうでうごめいていた感じがした。
「THE BEE」を見たときには、胸の中のうねりが大きくて息が詰まるようだったのが、今回はそういうのともまた違っていて。
ただ、とにかく、「だから、じゃあ、どうすればいいの?!」と、惑っていた…ような感じ?
相変わらず、野田秀樹にはやられっぱなしです。
野田さんが10年前に書いた本を、松尾スズキが演出。
というわけで、観てきました。
初演は見てないし、戯曲は読んでないので、どういう話なのかは知らないまっさらな状態で観劇しました。
確か初演は深津絵里がやっていた役を、今回は多部未華子がやってました。
余談ですが、うちでは彼女は鹿女と呼ばれてます(^^;。
で、その彼女、思ったよりも全然巧かった!びっくりしたな~。嬉しい誤算です。
声のメリハリもあって、活舌もいいし、舞台でも十分やれる女優さんじゃないでしょうか。
まだ若いから、いろんな経験をして、沢山の表現力を身につけて、新しい面を見せて欲しいなと感じました。
他の役者さんは実力派でどっしりとした方ばかりだったから、その新鮮さもまたいいコントラストになっていたと思います。
今回すっごく楽しみにしていったのが、吹越満さんなのよね~(^^)。
彼、大好き。
特にこういう胡散臭い役をやらせたら、ピカイチだよなぁ、と(笑)。
お話そのものは、野田さんらしい物語でした。気分気分に流されていく大衆。
野田地図になってからの野田さんの戯曲は芯がほとんど同じだけれども、その魅せ方のバリエーションの一つなのかな、と感じました。
そして、演出。
松尾さんの演出は、物凄く彼らしい!という雰囲気をちゃんと残しながら、やっぱり野田さんぽくって、巧い具合に融合していたと思います。
今回は平常な気分で見れなかったので(特に序盤)、もう一回ちゃんと観たい。
その意味で、残念でした。
最後に、蟻の野田さん、チョー笑えた(^^;。
というわけで、観てきました。
初演は見てないし、戯曲は読んでないので、どういう話なのかは知らないまっさらな状態で観劇しました。
確か初演は深津絵里がやっていた役を、今回は多部未華子がやってました。
余談ですが、うちでは彼女は鹿女と呼ばれてます(^^;。
で、その彼女、思ったよりも全然巧かった!びっくりしたな~。嬉しい誤算です。
声のメリハリもあって、活舌もいいし、舞台でも十分やれる女優さんじゃないでしょうか。
まだ若いから、いろんな経験をして、沢山の表現力を身につけて、新しい面を見せて欲しいなと感じました。
他の役者さんは実力派でどっしりとした方ばかりだったから、その新鮮さもまたいいコントラストになっていたと思います。
今回すっごく楽しみにしていったのが、吹越満さんなのよね~(^^)。
彼、大好き。
特にこういう胡散臭い役をやらせたら、ピカイチだよなぁ、と(笑)。
お話そのものは、野田さんらしい物語でした。気分気分に流されていく大衆。
野田地図になってからの野田さんの戯曲は芯がほとんど同じだけれども、その魅せ方のバリエーションの一つなのかな、と感じました。
そして、演出。
松尾さんの演出は、物凄く彼らしい!という雰囲気をちゃんと残しながら、やっぱり野田さんぽくって、巧い具合に融合していたと思います。
今回は平常な気分で見れなかったので(特に序盤)、もう一回ちゃんと観たい。
その意味で、残念でした。
最後に、蟻の野田さん、チョー笑えた(^^;。
▼「ザ・ダイバー」日本語版
2009年9月12日 演劇
英語版では、演出と雰囲気と俳優さんを見たぐらいで、私が舞台で一番みたい「物語」がわからなかったんだよね。いや、理解できなかったっていうよりも、体感として染みてこなかったっていうか。
やっぱり言葉って重要(…いまさら…(^^;)。
そういうわけで、日本語版は待ちに待っていたんですよ。
しかも、主演が大竹さんだもんな。絶対凄いに違いない。
という予想に違わず、すばらしい舞台でした。
とにかく端の席だったってこともあり、俳優の顔が半分ぐらいは見えなかったのが悔しい。
しかし、出演されている方々が、相当な実力者ばかりなので、顔なんていうのは、情報の一部でしかないってことも実感できました。言葉、声の大きさ・高さ、身振り、全てで表現されるんだよね。
しかも、舞台独特の特典として、俳優たちの存在感、オーラというか、雰囲気というか、そういうものとしてにじみ出てくるものも多く感じられたのが、嬉しい。こういうの、映像ではここまで感じるのはムリだもの。
キャサリンのときには、弾丸なイギリス英語が音として通り過ぎてしまったのだけど(これは受け手の私の問題)、やっぱり大竹さんの日本語はスルリと意味が入ってきて、その意味でとても分かりやすかったです。
大竹さんのお芝居をみて、あらためてキャサリンの巧さが理解できるというのが、自分でも不思議な感じでした。
とてもオトナな舞台だなあというのが、ざっくりとした印象でしょうか。
物語もそうだし、演出もそうだし。
遠出してでも、頑張って観にいった甲斐のあるものだったよ。
余談。
農業少女の松尾スズキ版か~!気になる!!!
やっぱり言葉って重要(…いまさら…(^^;)。
そういうわけで、日本語版は待ちに待っていたんですよ。
しかも、主演が大竹さんだもんな。絶対凄いに違いない。
という予想に違わず、すばらしい舞台でした。
とにかく端の席だったってこともあり、俳優の顔が半分ぐらいは見えなかったのが悔しい。
しかし、出演されている方々が、相当な実力者ばかりなので、顔なんていうのは、情報の一部でしかないってことも実感できました。言葉、声の大きさ・高さ、身振り、全てで表現されるんだよね。
しかも、舞台独特の特典として、俳優たちの存在感、オーラというか、雰囲気というか、そういうものとしてにじみ出てくるものも多く感じられたのが、嬉しい。こういうの、映像ではここまで感じるのはムリだもの。
キャサリンのときには、弾丸なイギリス英語が音として通り過ぎてしまったのだけど(これは受け手の私の問題)、やっぱり大竹さんの日本語はスルリと意味が入ってきて、その意味でとても分かりやすかったです。
大竹さんのお芝居をみて、あらためてキャサリンの巧さが理解できるというのが、自分でも不思議な感じでした。
とてもオトナな舞台だなあというのが、ざっくりとした印象でしょうか。
物語もそうだし、演出もそうだし。
遠出してでも、頑張って観にいった甲斐のあるものだったよ。
余談。
農業少女の松尾スズキ版か~!気になる!!!
▼野田MAP「パイパー」
2009年1月24日 演劇新作でSF。
もともと私は演劇に娯楽性を求めたいほうなので、今回の野田さんの作品はとても嬉しかった。
もちろん、近年野田さんが作品にこめているメッセージは今回も変わらずあったんだけれども、それでもその表現の仕方が、やっぱりこちらのほうが私は好きなんだよねぇ。
その意味では、私は野田MAPよりも夢の遊眠社のほうが好きだといえるかもしれない。
舞台が始まる前に、パンフをちらりと読んでしまった。
そこで松さんが妹、りえさんが姉、と知る。
個人的なイメージとして姉妹が逆に感じた。女優さんたちの実年齢的にも松さんのほうが下でしたっけ?
このギャップ、なんだか、「二人の王女」のマヤと亜弓さんのキャスティングみたいだ(笑)。結果的に見終わると最初の印象とは違って、この組み合わせてよかったんだわね、と納得するあたりも似ている(^^;。
ともあれ、舞台での発声はいつもハスキーな印象の強いりえさんは、これはこれで力強い姉で、なかなかにすばらしいものでした。
イノセントのようでいて、実は結構俗物的な(でもだからこその逞しさ)ってのにも松さんの存在感に相まって妙な安定感を感じた次第。
今回キャストに美味しい方が多くって、主演女優さんたち以外にも見所が沢山でしたねー。
絶対的な安心感のあった橋爪さん、「し」を見たことがないのがとても悔しい、と再確認。
また、今回はアンサンブルによる群像がとても綺麗だった。
エネルギーと雰囲気でみせる人海戦術の迫力のみならず、コンドルズによって制御されたであろう美しい動きは、見ていて本当に感動ものでした。
一人の人間による肉体表現とはまた違った存在感と芸術性があったと思います。
舞台は休みなしの二時間。あっという間でした。
火星に咲く花を魅せる野田さんのロマンチシズムは、近年のシニカルな英国舞台劇にはみられなかったもので、だから私はやっぱりこちら側が好きなのよね。
まあでも、TheDiver日本版も絶対観たいんだけれども(笑)。
もともと私は演劇に娯楽性を求めたいほうなので、今回の野田さんの作品はとても嬉しかった。
もちろん、近年野田さんが作品にこめているメッセージは今回も変わらずあったんだけれども、それでもその表現の仕方が、やっぱりこちらのほうが私は好きなんだよねぇ。
その意味では、私は野田MAPよりも夢の遊眠社のほうが好きだといえるかもしれない。
舞台が始まる前に、パンフをちらりと読んでしまった。
そこで松さんが妹、りえさんが姉、と知る。
個人的なイメージとして姉妹が逆に感じた。女優さんたちの実年齢的にも松さんのほうが下でしたっけ?
このギャップ、なんだか、「二人の王女」のマヤと亜弓さんのキャスティングみたいだ(笑)。結果的に見終わると最初の印象とは違って、この組み合わせてよかったんだわね、と納得するあたりも似ている(^^;。
ともあれ、舞台での発声はいつもハスキーな印象の強いりえさんは、これはこれで力強い姉で、なかなかにすばらしいものでした。
イノセントのようでいて、実は結構俗物的な(でもだからこその逞しさ)ってのにも松さんの存在感に相まって妙な安定感を感じた次第。
今回キャストに美味しい方が多くって、主演女優さんたち以外にも見所が沢山でしたねー。
絶対的な安心感のあった橋爪さん、「し」を見たことがないのがとても悔しい、と再確認。
また、今回はアンサンブルによる群像がとても綺麗だった。
エネルギーと雰囲気でみせる人海戦術の迫力のみならず、コンドルズによって制御されたであろう美しい動きは、見ていて本当に感動ものでした。
一人の人間による肉体表現とはまた違った存在感と芸術性があったと思います。
舞台は休みなしの二時間。あっという間でした。
火星に咲く花を魅せる野田さんのロマンチシズムは、近年のシニカルな英国舞台劇にはみられなかったもので、だから私はやっぱりこちら側が好きなのよね。
まあでも、TheDiver日本版も絶対観たいんだけれども(笑)。
▼「The Diver」
2008年10月4日 演劇英語の舞台だったので、かなり最初から覚悟を決めて観る事にしました。
覚悟というのは、何らかの情報を受け損なう、ってこと。
セリフをしっかり把握するには字幕を見る必要がある。
字幕を見てれば、俳優の演技を見落とす。
これは野田さんの舞台としては、かなり大きい欠落だと私は思っていて、見終わって案の定やっぱり…と思った。
一回見ただけだと、全然足りない。
途中からセリフを読むのは半分諦めました。
言葉よりも演技に集中したほうがまだマシ。
この演技と雰囲気をちゃんと受け止めたいって思ったんだよね。
ああ、それにしても悔しい。
ヒアリング出来てた同行者が羨ましい…。
物語は、殺人を犯した女性が判決を受けて刑を執行される日までの、精神科医とのやりとり、となるのかな。
その中で、加害女性は人格がいくつか入れ替わりながら、事件の背景を語りつつ、人間の持つ悪意や憎悪、悲哀が描かれます。
いやしっかし、キャサリン、小さい(^^;。
野田さんも小柄ではあるけど、彼女の小ささは他のキャストとの比較もあって凄く目立つんだよね。しかしこれが演技が入ってくると、すっごい存在感になるんです。
本音を言うと私はキャサリンの演技のタイプが好きじゃないんだよねぇ。
でも力のある演技というのは、そういう好き嫌いを演技の最中には思い出させないぐらいの圧力をもって受け止めさせられるんだよなと、体感しました。
圧巻。
なんとも後味の悪い終わり方ではあるんだけど、人間の感情や業について考えざるをえないクライマックスでした。
個人的には、妊婦の堕胎にまつわるシーンが辛かった。正妻が電話で詰るシーンです。
もともとどういう表現方法であっても堕胎表現って、私は凄く気持ち悪い感情が強く働くんだよね。それは倫理的なというよりも、物凄く個人的なことによる感情が作用しているんだけれども(いや私は堕胎したことないけど(^^;)、他の多くの人とは受け取り方がちょいと独特なのかもしれない。
でもそのため、あのシーンとクライマックスの赤い布のシーンは(文字通り)見てられなくて、意味を受け取りそこねちゃったんだよね。
…舞台として表現しているものを見損ねてしまって、作品としてしっかり見れなかったのが、自分のせいだけど、残念でした。
叶うことならもう一度見たいと思う。
きっと楽しい体験じゃないだろうけど、でも舞台表現というのは楽しさがすべてじゃない。
野田さんという天才が発する情報を、ちゃんと受け止めたいという気持ちから。
覚悟というのは、何らかの情報を受け損なう、ってこと。
セリフをしっかり把握するには字幕を見る必要がある。
字幕を見てれば、俳優の演技を見落とす。
これは野田さんの舞台としては、かなり大きい欠落だと私は思っていて、見終わって案の定やっぱり…と思った。
一回見ただけだと、全然足りない。
途中からセリフを読むのは半分諦めました。
言葉よりも演技に集中したほうがまだマシ。
この演技と雰囲気をちゃんと受け止めたいって思ったんだよね。
ああ、それにしても悔しい。
ヒアリング出来てた同行者が羨ましい…。
物語は、殺人を犯した女性が判決を受けて刑を執行される日までの、精神科医とのやりとり、となるのかな。
その中で、加害女性は人格がいくつか入れ替わりながら、事件の背景を語りつつ、人間の持つ悪意や憎悪、悲哀が描かれます。
いやしっかし、キャサリン、小さい(^^;。
野田さんも小柄ではあるけど、彼女の小ささは他のキャストとの比較もあって凄く目立つんだよね。しかしこれが演技が入ってくると、すっごい存在感になるんです。
本音を言うと私はキャサリンの演技のタイプが好きじゃないんだよねぇ。
でも力のある演技というのは、そういう好き嫌いを演技の最中には思い出させないぐらいの圧力をもって受け止めさせられるんだよなと、体感しました。
圧巻。
なんとも後味の悪い終わり方ではあるんだけど、人間の感情や業について考えざるをえないクライマックスでした。
個人的には、妊婦の堕胎にまつわるシーンが辛かった。正妻が電話で詰るシーンです。
もともとどういう表現方法であっても堕胎表現って、私は凄く気持ち悪い感情が強く働くんだよね。それは倫理的なというよりも、物凄く個人的なことによる感情が作用しているんだけれども(いや私は堕胎したことないけど(^^;)、他の多くの人とは受け取り方がちょいと独特なのかもしれない。
でもそのため、あのシーンとクライマックスの赤い布のシーンは(文字通り)見てられなくて、意味を受け取りそこねちゃったんだよね。
…舞台として表現しているものを見損ねてしまって、作品としてしっかり見れなかったのが、自分のせいだけど、残念でした。
叶うことならもう一度見たいと思う。
きっと楽しい体験じゃないだろうけど、でも舞台表現というのは楽しさがすべてじゃない。
野田さんという天才が発する情報を、ちゃんと受け止めたいという気持ちから。
野田版はこれで三作目。そして完全新作はこれが始めて。
ま、完全新作とはいっても下敷きにオペラがあるのですが。
「八月納涼歌舞伎」第三部の演目は、「紅葉狩」と「野田版愛陀姫」でした。
野田版が目当てで見に行ったわけですが、ちゃんとした歌舞伎を見たことがなかったので、紅葉狩のほうもみることが出来てよかったです。
おかげで、野田版(今回の愛陀姫に限らず)ってのがどれだけ歌舞伎として特異なのかもわかりました(笑)。
登場人物がよくしゃべる。そしてそのスピードが結構速い。あと、人物の所作も早かったと思う。
舞台演劇としてみれば普通だとは思うんだけど、歌舞伎の様式からするとかなりテンポが違うように感じました。
こういう部分は、生粋の歌舞伎ファン(っていう言い方をするのか?(^^;)には、わかりやすい違和感になるんだろうなあ。
年配の方などはセリフを全部聞き取れてるのかしら、と余計な心配をしちゃったよ。
舞台の背景になっていた巻物風の?壁は、私はちょっと面白いなあと思いました。
屏風のような動きは気に入ったんだけど、でも、それが動くときの音が雰囲気をそいでいると感じる部分があったかな。何となく音の軽さが安っぽく見えるっていうか。
その意味で、舞台奥からせり出してくるピラミッドを意識したような色の台(アレ、なんていうんだろう)が出てくるときの音も、コロコロと安っぽくて耳障りだった。
移動することを考えると車(コロ)がついてるのは仕方ないのかもしれないけど、もうちょっとスムースに静かに動いてくれるとまた違った印象になるんじゃないかなあと思いつつ見てました。
しかし、あの象はなぁ…(遠い目)。
いくら元がエジプトの話だからって、あれは不必要でしょう。だってあの時代の日本のあの場面で、象である必然性がないよー。意味不明。
クライマックスの蝶々にもガクっときたし。
舞台美術は全体にちぐはぐな印象をうけました。
部分部分は面白いと感じたものもあったんだけど、妙にまとまりがない感じがして。
あと、二階席からの鑑賞だったことも影響あるとは思うんだけど、舞台がスカスカな印象がありました。
横への広がりはあったとは思うんだけど、奥行き感というか上方の隙間が気になって、そういうのも物足りなさに繋がったように思います。
さて、役者さん。
しょっぱなからアレですが、勘三郎さんって、女形はあんまり似合わなくない?(^^;
巧いか下手かってことよりも、勘三郎さんの公的なパーソナリティってどうしようもなく男性に見えるんだよねぇ。そういうのも含めて女に見せるのが芸だというなら、巧くないってことになっちゃうのかな?そのあたりはよくわからないんだけど。
歌舞伎の女形の女性性は、特に踊りから見えやすいんだけど(私だけかな?)、この舞台では踊りがなかったから余計にそう感じたのかもしれない。
あとしゃべり方が早口で(これは勘三郎さんのほかの役のときにも感じた)、落ち着きがないようにみえる。
濃姫にはもうちょっと気品を感じさせる知的な物言いをして欲しかったなあ。
その点、愛陀姫は悲しみと苦しみが全面に出たキャラになっていて、わかりやすくなっていたと思う。
オペラのあらすじを読んだときに想像したとおりの造詣になっていたっていうか。
パンフ(?)を読んだら、キャストの皆さんが音楽がいいって言ってる人が多かったんだけれども、そんなに強烈にイイっていう風じゃなかった。
西洋の曲らしい旋律は聞こえてはいたけど、やっぱり笛の音色の儚さがメロディラインの力強さを表しきれてないかな〜という感じ。
私は野田さんの舞台でも、全部が全部好きなタイプじゃないんだけど、それでも好きじゃないなりに凄いなぁという部分は毎回感じてきたのよね。
しかし今回はあんまりそういう感じ方が出来なかったのは残念。好き嫌い以前に、よくわからない、というのが正直なところか。
お話としては意外に単純でわかりやすかったとは思うんだけどね。
歌舞伎を素材に、どういう舞台を造りたかったのか。何がやりたかったのか。そのあたりがよく見えてこなかったと思う。
ちょっともったいなかったなぁ。
ま、完全新作とはいっても下敷きにオペラがあるのですが。
「八月納涼歌舞伎」第三部の演目は、「紅葉狩」と「野田版愛陀姫」でした。
野田版が目当てで見に行ったわけですが、ちゃんとした歌舞伎を見たことがなかったので、紅葉狩のほうもみることが出来てよかったです。
おかげで、野田版(今回の愛陀姫に限らず)ってのがどれだけ歌舞伎として特異なのかもわかりました(笑)。
登場人物がよくしゃべる。そしてそのスピードが結構速い。あと、人物の所作も早かったと思う。
舞台演劇としてみれば普通だとは思うんだけど、歌舞伎の様式からするとかなりテンポが違うように感じました。
こういう部分は、生粋の歌舞伎ファン(っていう言い方をするのか?(^^;)には、わかりやすい違和感になるんだろうなあ。
年配の方などはセリフを全部聞き取れてるのかしら、と余計な心配をしちゃったよ。
舞台の背景になっていた巻物風の?壁は、私はちょっと面白いなあと思いました。
屏風のような動きは気に入ったんだけど、でも、それが動くときの音が雰囲気をそいでいると感じる部分があったかな。何となく音の軽さが安っぽく見えるっていうか。
その意味で、舞台奥からせり出してくるピラミッドを意識したような色の台(アレ、なんていうんだろう)が出てくるときの音も、コロコロと安っぽくて耳障りだった。
移動することを考えると車(コロ)がついてるのは仕方ないのかもしれないけど、もうちょっとスムースに静かに動いてくれるとまた違った印象になるんじゃないかなあと思いつつ見てました。
しかし、あの象はなぁ…(遠い目)。
いくら元がエジプトの話だからって、あれは不必要でしょう。だってあの時代の日本のあの場面で、象である必然性がないよー。意味不明。
クライマックスの蝶々にもガクっときたし。
舞台美術は全体にちぐはぐな印象をうけました。
部分部分は面白いと感じたものもあったんだけど、妙にまとまりがない感じがして。
あと、二階席からの鑑賞だったことも影響あるとは思うんだけど、舞台がスカスカな印象がありました。
横への広がりはあったとは思うんだけど、奥行き感というか上方の隙間が気になって、そういうのも物足りなさに繋がったように思います。
さて、役者さん。
しょっぱなからアレですが、勘三郎さんって、女形はあんまり似合わなくない?(^^;
巧いか下手かってことよりも、勘三郎さんの公的なパーソナリティってどうしようもなく男性に見えるんだよねぇ。そういうのも含めて女に見せるのが芸だというなら、巧くないってことになっちゃうのかな?そのあたりはよくわからないんだけど。
歌舞伎の女形の女性性は、特に踊りから見えやすいんだけど(私だけかな?)、この舞台では踊りがなかったから余計にそう感じたのかもしれない。
あとしゃべり方が早口で(これは勘三郎さんのほかの役のときにも感じた)、落ち着きがないようにみえる。
濃姫にはもうちょっと気品を感じさせる知的な物言いをして欲しかったなあ。
その点、愛陀姫は悲しみと苦しみが全面に出たキャラになっていて、わかりやすくなっていたと思う。
オペラのあらすじを読んだときに想像したとおりの造詣になっていたっていうか。
パンフ(?)を読んだら、キャストの皆さんが音楽がいいって言ってる人が多かったんだけれども、そんなに強烈にイイっていう風じゃなかった。
西洋の曲らしい旋律は聞こえてはいたけど、やっぱり笛の音色の儚さがメロディラインの力強さを表しきれてないかな〜という感じ。
私は野田さんの舞台でも、全部が全部好きなタイプじゃないんだけど、それでも好きじゃないなりに凄いなぁという部分は毎回感じてきたのよね。
しかし今回はあんまりそういう感じ方が出来なかったのは残念。好き嫌い以前に、よくわからない、というのが正直なところか。
お話としては意外に単純でわかりやすかったとは思うんだけどね。
歌舞伎を素材に、どういう舞台を造りたかったのか。何がやりたかったのか。そのあたりがよく見えてこなかったと思う。
ちょっともったいなかったなぁ。
▼「女教師は二度抱かれた」
2008年8月16日 演劇松尾さんの公演はこれで三回目。
それで大体好みの方向ってのがわかってきたかな。主催している大人計画の舞台だと、私の好みからいうとちょっとエグすぎて、見るのがちょっと大変。見れば面白いと思うし、見てよかったって感じるんだろうけど、途中途中どうしてもいたたまれない気分になってしまうっていうか(^^;。
その意味では、コクーンでのプロデュース公演だと、多少大衆向けを意識してるってこともあるんだろう、見てる最中のあのどうしようもなくうずうずする感覚が少なくなっているような気がする。
大好きな人はそういう部分こそが大人計画臭って感じでイイんでしょうが(笑)、私は大衆向け薄味が好みなんでしょう。
そんな風に自覚できた本公演でありました。
さて。
前評判もなかなか好印象だってことを漏れ聞いていたので、安心して期待してみてきました(笑)。
大人になった主人公が、高校時代に複雑な関係にあった女性教師と再会するところから世界が渦を巻き始めます。
思いがけない再会と大きな希望、そして事故と事件、暴露。
最初、ドタバタ劇なのかと思っていたのだけど、これがだんだんとサイコな展開になっていって、最後はかなりシリアスなところに落ちていきました。
過去にあった出来事と、現在の出来事がリンクしながらあかされていくのだけど、そのやり方(演出というのかな)が巧いなぁ。
ナレーションの使い方がしっくりきていて、長い舞台でも途中で意識が散漫することもなく自然に集中できた。
大竹さんはやはり巧い。
いまさらですけどね(^^;。基本的にヤバい雰囲気をずっと感じさせるあのしゃべり方が凄いよ。発声だけでキャラクターの精神状態が想像できる。
あと意外に(笑)歌が巧かったな〜。ちょっと古いタイプの曲が、キャラクターと声にも合っていたように思った。
染五郎さんは、私の中では大竹さんのエキセントリックさに沈んでしまって、今回あまり強いインパクトがなかった(^^;。
いや、多分それはそれで巧かったんだと思う。だって巧い人の隣に下手な人がいると、浮かび上がってみえるもんね。そういうのはなかったし。
しかし彼を舞台上でパンツ一枚にするあたりが大人計画の松尾さんだなーと思ったよ。
そして、始終ハイテンションな阿部サダヲ!
彼はねぇ、やっぱり凄い。今回特に、染五郎さん相手に歌舞伎役者という役をやるんだもんなあ。客側だってそういう部分、どうしても感じずにはいられないわけじゃん?
もともと彼も巧い人だとは思っていたけど、結構ふられる役が役自体ぶっとんでることが多かったりするから、その役の印象ではじけてる感じがしちゃうけど、実際はとても演技が巧い人だよなあとしみじみ思ったよ。
緩急というかハイローというか、そういう切替が素早くて、メリハリがちゃんとしてて。
もともと好きだったけど、ますます興味が出てきました。
パンフを読んでわかったんだけど、これは三部作の二部にあたるみたいですね。
一部が小説「クワイエットルームにようこそ」(去年かな、映画にもなりました)で、二部がコレと。三部はまた小説になるようです。いつになるのかわからないけど、読みたいなぁ。
それで大体好みの方向ってのがわかってきたかな。主催している大人計画の舞台だと、私の好みからいうとちょっとエグすぎて、見るのがちょっと大変。見れば面白いと思うし、見てよかったって感じるんだろうけど、途中途中どうしてもいたたまれない気分になってしまうっていうか(^^;。
その意味では、コクーンでのプロデュース公演だと、多少大衆向けを意識してるってこともあるんだろう、見てる最中のあのどうしようもなくうずうずする感覚が少なくなっているような気がする。
大好きな人はそういう部分こそが大人計画臭って感じでイイんでしょうが(笑)、私は大衆向け薄味が好みなんでしょう。
そんな風に自覚できた本公演でありました。
さて。
前評判もなかなか好印象だってことを漏れ聞いていたので、安心して期待してみてきました(笑)。
大人になった主人公が、高校時代に複雑な関係にあった女性教師と再会するところから世界が渦を巻き始めます。
思いがけない再会と大きな希望、そして事故と事件、暴露。
最初、ドタバタ劇なのかと思っていたのだけど、これがだんだんとサイコな展開になっていって、最後はかなりシリアスなところに落ちていきました。
過去にあった出来事と、現在の出来事がリンクしながらあかされていくのだけど、そのやり方(演出というのかな)が巧いなぁ。
ナレーションの使い方がしっくりきていて、長い舞台でも途中で意識が散漫することもなく自然に集中できた。
大竹さんはやはり巧い。
いまさらですけどね(^^;。基本的にヤバい雰囲気をずっと感じさせるあのしゃべり方が凄いよ。発声だけでキャラクターの精神状態が想像できる。
あと意外に(笑)歌が巧かったな〜。ちょっと古いタイプの曲が、キャラクターと声にも合っていたように思った。
染五郎さんは、私の中では大竹さんのエキセントリックさに沈んでしまって、今回あまり強いインパクトがなかった(^^;。
いや、多分それはそれで巧かったんだと思う。だって巧い人の隣に下手な人がいると、浮かび上がってみえるもんね。そういうのはなかったし。
しかし彼を舞台上でパンツ一枚にするあたりが大人計画の松尾さんだなーと思ったよ。
そして、始終ハイテンションな阿部サダヲ!
彼はねぇ、やっぱり凄い。今回特に、染五郎さん相手に歌舞伎役者という役をやるんだもんなあ。客側だってそういう部分、どうしても感じずにはいられないわけじゃん?
もともと彼も巧い人だとは思っていたけど、結構ふられる役が役自体ぶっとんでることが多かったりするから、その役の印象ではじけてる感じがしちゃうけど、実際はとても演技が巧い人だよなあとしみじみ思ったよ。
緩急というかハイローというか、そういう切替が素早くて、メリハリがちゃんとしてて。
もともと好きだったけど、ますます興味が出てきました。
パンフを読んでわかったんだけど、これは三部作の二部にあたるみたいですね。
一部が小説「クワイエットルームにようこそ」(去年かな、映画にもなりました)で、二部がコレと。三部はまた小説になるようです。いつになるのかわからないけど、読みたいなぁ。
▼「恐れを知らぬ川上音二郎一座」
2008年3月26日 演劇三谷さんの舞台はチケットがとれねぇ!
というわけで、WOWOWでやったのを鑑賞。
三時間は長かった…、と感じる程度には途中冗長だったと思う。
私はTVで鑑賞となったけど、こういうのはもしかしたら舞台を実際に観劇した人だと受ける印象が違ってくるのかもしれない。場の雰囲気って、舞台作品にはかなり重要だからね。
それにしても、劇中劇はかなり冗漫だったよな。
俳優一人ひとりはネームバリューのある人ばっかりで、しかもほとんどが三谷組とも言える三谷脚本の常連が多かったから、かなり安心して楽しめました。
中でも定評のある戸田さんが、やっぱり巧い。
何というか、「下手な役が巧い」って面白いよなあ、と(笑)。これだけ芸達者な戸田さんに、めちゃくちゃ芝居が下手だという役を演じさせる、そのギャップだけでも十分面白いのに、その下手さ加減が絶妙でさ。セリフ棒読み、無表情、挙動不審な動き、全てに笑わせてもらいました。
そして最後にホロリとさせるところなんか、展開がわかっていてもグっとくるよ。
堺雅人さんもイイ味出してましたねえ。
振って沸いた役をやらされて困惑しながらのセリフ棒読みなんだけど、書生さん(?)で一番シェイクスピアを理解しているためにストーリーを元に戻そうとする頑張りが涙なしでは見られない(笑)。
他にも、堺正章さんの多彩な「すちゃらかぽこぽこ」、浅井さんの妖怪じみた女形姿、今井さんのどことなくおかしみというか胡散臭さ漂う雰囲気、堀内さんの怒涛の津軽弁などなど、それぞれのキャストにちゃんと見せ場がありました。
さすが商業演劇、さすがあてがき作家三谷さん。
でも次は構成の妙が生きてくるような舞台らしい舞台が見たいです。>三谷さん!
というわけで、WOWOWでやったのを鑑賞。
三時間は長かった…、と感じる程度には途中冗長だったと思う。
私はTVで鑑賞となったけど、こういうのはもしかしたら舞台を実際に観劇した人だと受ける印象が違ってくるのかもしれない。場の雰囲気って、舞台作品にはかなり重要だからね。
それにしても、劇中劇はかなり冗漫だったよな。
俳優一人ひとりはネームバリューのある人ばっかりで、しかもほとんどが三谷組とも言える三谷脚本の常連が多かったから、かなり安心して楽しめました。
中でも定評のある戸田さんが、やっぱり巧い。
何というか、「下手な役が巧い」って面白いよなあ、と(笑)。これだけ芸達者な戸田さんに、めちゃくちゃ芝居が下手だという役を演じさせる、そのギャップだけでも十分面白いのに、その下手さ加減が絶妙でさ。セリフ棒読み、無表情、挙動不審な動き、全てに笑わせてもらいました。
そして最後にホロリとさせるところなんか、展開がわかっていてもグっとくるよ。
堺雅人さんもイイ味出してましたねえ。
振って沸いた役をやらされて困惑しながらのセリフ棒読みなんだけど、書生さん(?)で一番シェイクスピアを理解しているためにストーリーを元に戻そうとする頑張りが涙なしでは見られない(笑)。
他にも、堺正章さんの多彩な「すちゃらかぽこぽこ」、浅井さんの妖怪じみた女形姿、今井さんのどことなくおかしみというか胡散臭さ漂う雰囲気、堀内さんの怒涛の津軽弁などなど、それぞれのキャストにちゃんと見せ場がありました。
さすが商業演劇、さすがあてがき作家三谷さん。
でも次は構成の妙が生きてくるような舞台らしい舞台が見たいです。>三谷さん!
●「野田版 研辰の討たれ」(DVD、初演)
2008年2月1日 演劇
DVD、見ました。
いやあ、やっぱり面白かった。
ストーリーもそうだけど、先日見てきたシネマ歌舞伎の再演のものとは、またちょっと演出が違っていて、そういう差の部分が楽しめたのもよかったです。
全体に画面が小さい感じがしたのは、引いた映像が多かったからかもしれません。
DVDはNHKが作ったらしいので、映像化の際の監督が違うのが大きかったのかもしれないですね。
あと、シネマ歌舞伎で見た再演では、お笑い芸人のパロディが結構あったんだけど、初演ではアレ全然なかったです。これはちょっと嬉しかったな。やっぱり、ああいう時事ネタ(の一種でしょう、やっぱり)は、個人的に好きじゃないしさ。
逆に、くらやみでのウエストサイド物語パロなんかは、再演のほうが格好よかったです。皆のダンス(?)が初演では、ちょっとバラバラ感があって、まとまってない印象がありました。
それから、勘三郎さんがシネマ歌舞伎として再演を撮影した日に、クライマックスでセリフを忘れてぐだぐだになっちゃった、ってコメントしていたのを読んでいたので、DVDではその部分も期待して見ました。
うん、やっぱりこっちのほうがすっきりしてるかも。引き締まったラストになってました。
ううん、これは野田ファンとか勘三郎さんファンは、どちらも見たいと思うんじゃないかしら。
再演のほうもいつかDVDになるかなあ??
いやあ、やっぱり面白かった。
ストーリーもそうだけど、先日見てきたシネマ歌舞伎の再演のものとは、またちょっと演出が違っていて、そういう差の部分が楽しめたのもよかったです。
全体に画面が小さい感じがしたのは、引いた映像が多かったからかもしれません。
DVDはNHKが作ったらしいので、映像化の際の監督が違うのが大きかったのかもしれないですね。
あと、シネマ歌舞伎で見た再演では、お笑い芸人のパロディが結構あったんだけど、初演ではアレ全然なかったです。これはちょっと嬉しかったな。やっぱり、ああいう時事ネタ(の一種でしょう、やっぱり)は、個人的に好きじゃないしさ。
逆に、くらやみでのウエストサイド物語パロなんかは、再演のほうが格好よかったです。皆のダンス(?)が初演では、ちょっとバラバラ感があって、まとまってない印象がありました。
それから、勘三郎さんがシネマ歌舞伎として再演を撮影した日に、クライマックスでセリフを忘れてぐだぐだになっちゃった、ってコメントしていたのを読んでいたので、DVDではその部分も期待して見ました。
うん、やっぱりこっちのほうがすっきりしてるかも。引き締まったラストになってました。
ううん、これは野田ファンとか勘三郎さんファンは、どちらも見たいと思うんじゃないかしら。
再演のほうもいつかDVDになるかなあ??