■セルバンテス「ドン・キホーテ」
2015年11月23日 小説、活字本 コメント (2)スペインはラ・マンチャ地方の田舎騎士ドン・キホーテは、騎士道小説の読みすぎで正気を逸し、自ら遍歴の騎士となって世の不正をただそうと旅に出る。狂気と夢が引き起こす、滑稽な冒険物語。
何となく知っているようで、実はちゃんと読んだことがなかったのでした。
ちょっと頭のおかしいおじさんが、風車に向かって突っ込んでいくイメージだったんだけど、それは物語のほんの一部、羊の群れに突進したり、ライオンに喧嘩?をふっかけたり、いろいろと笑えるエピソードは多かったんだけど、でも基本的に実はとても頭のいい人だったんだなあ、というのが読後の印象となりました。
もともとは、物凄い長編で岩波文庫だと前篇3冊後篇3冊となってます。著者も前篇を書いてから、かなり長いこと時間をかけてから後篇を出しているってこともあって、実は結構な大作。
今回、ちょっと時間がなかったことと、それほどの長編を全部読みきる気にならなかった(最初はね。読み終わってから、全部読んでもいいかも?って思ったよ。面白かったし)ので、子ども向けの抄訳本(岩波少年文庫)に手を出してみました。
ひとつひとつのエピソードは、馬鹿馬鹿しかったり、現実離れしすぎていたり、中々序盤は入り込むのが難しかったんだけど、後篇にはいってからは、キホーテもサンチョも、実は物凄くまっとうな倫理観と正義感を持っていて、だけどどこかやっぱり常識外れだったりして、そのアンバランスが、妙に愛着を感じさせます。
近くにこんな狂人がいたら迷惑だと思うけど(笑)、でも彼らのなすことは基本的に心優しいし誠実なんだよね…。
時に、深く考えさせられるようなことを言ったりする彼らに、寄り添うようにして読み進められたのは、楽しい経験でした。
本は、岩波のほかにも沢山の出版社・翻訳者が出しているので、どれがオススメというのは難しいなあ。
また、抄訳本もいくつもあって、そのどれもが取り上げているエピソードが様々に違っていたりするので、こういうのを読み比べるのも面白いかもしれないですね。
私が読んだ岩波少年文庫は、キホーテとパンサの関係性を主眼にしたチョイスだそうで、こういう読み方もできる、ということなんでしょう。
いろんな角度から楽しめるということは、やっぱり元もとの物語に力があるってことだと思います。
もし、読んだことがないのなら、一読をおすすめします。
挿絵も雰囲気のあるものが多いので、手にとって選ぶ楽しみもありますよん。
コメント
読まなくては!岩波少年文庫はかなりいいシリーズ揃えてますよね。値段も手ごろだし。電車で読む本がなくて探していたんです。買いに行きます♪
そうそう、「聖書の次のベストセラー」らしいですね~。
自分の不勉強で、物語に書かれているちゃかされた?騎士道精神と、本来の騎士道精神との差異を実感として笑うことは出来なかったんですけれども、それがなくても単純な物語として面白いし、深読みして邪推?(笑)することもできるのも楽しいと思います。
気楽に接してみて、是非感想を聞きたいです(^^)