●「ブタがいた教室」
2008年12月19日 映画6年2組を担任することになった新米教師の星(妻夫木聡)は、食べることを前提として子ブタを飼うことをクラスの生徒たちに提案する。校長先生(原田美枝子)にも相談し、卒業までの1年間26人の生徒が子ブタの面倒を交代でみることになる。最初は戸惑っていた子どもたちも、“Pちゃん”と名付けた子ブタを次第にかわいがるようになり……。
一応の主演ってことになってるのは妻夫木聡になるようですが、主役はやっぱり豚のPちゃんでしょう。
六年生の皆に育てられるPちゃんの可愛さは、もともと動物大好きな私には大変な魅力なのです。
リノリウムのようなゴム床を、足を滑らせながらトコトコと歩くPちゃんのお尻の愛らしさときたら、たまりませんな(…ヘンタイ…?(^^;)。
映画は、新人先生が、小学六年生に「この豚を一年飼って、卒業のときに食べます」と宣言するところから始まります。
最初は特に感慨もなくそんなものかといいつつ育て始めた六年生は、自分たちで育てていく経験をつむことで、「本当にPちゃんと食べるのか?」ということに向き合うことになるのでした。
果たして、Pちゃんの運命はいかに?
映画製作者の思う壺、なんだろうなあと頭の片隅で思いながらも、やっぱり小学生の子どもたちが泣きながらそれぞれの思いを言葉にしてディベートしていくシーンは、涙なしにはいられませんでした。
大切なのは、結局Pちゃんをどうしたのか、という部分より、そこにたどり着くまでに多くの子どもたちがその事柄に真剣に向かい合い、どうやって自分の感情を整理し、それをどうやって他人に伝えるのかを苦心する、その姿なのでしょう。
こんな立派なディベートが、小学生でもちゃんとできるんだなあと奇妙に冷めた目で見ていることもありました。
そしてそのディベートの進行を、自分の考えを押し付けないようにうまく流れを作っていた先生も凄いなあと思ったよ。
こういう教育方法がベストであるとは、現時点で私は思えないのだけれども、一応大人である今の私からすると「面白そうな(試してみたい)教育→自分が子どもの頃に受けてみたかった授業」の一つであると感じています。
それを貫くことができた先生(モデルとなる実際の先生がいました)は、とても強いと感じましたね。
映画の中では、さまざまな大人たちも子どもと一緒に考えるんだけれども、私が個人的にとても気に入ったのは、肉屋の親父@近藤良平さんです。
豚を世話する子どものうちの一人が肉屋の子どもで、子どもがPちゃんのために家庭の残飯を用意している横で、子どもの父親は豚肉を捌いてるんですよね。
で、「自分も子どものころに、世話していた豚を殺す父親を 鬼 だと思った」と言うんです。そして彼自身が、豚と肉屋をする父親との関係について感じたことを、自分の息子に話すシーンは、とても印象的でした。
いのちをいただく、と、いうこと。
一度はちゃんと考える必要があることなんだと思いました。
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