●「たみおのしあわせ」
2008年12月19日 映画たみおと一緒に考えよう。「しあわせって、なに?」
神埼民男(オダギリ ジョー)は、とある町で父・伸男(原田芳雄)と2人暮らし。女性とのつきあいが苦手な民男が、伸男の上司の紹介で見合いをすることに・・・。相手は、容姿端麗で聡明な瞳(麻生久美子)。
そんな彼女からプロポーズの言葉を先に切り出される。民男は一瞬たじろぐも、縁談がまとまった喜びを伸男に報告する。
優柔不断で何事も成り行きまかせな民男と、ちょっとワケありの風情が漂う瞳。ふたりは着々とウェディングへと向かい、ついに結婚式の当日に・・・。
ふたりが「お見合い」から「結婚」までの道のりを右往左往しながら進むウェディング狂騒曲は、プチに哲学、なのにユーモラスな大人のものがたり。
岩松さんが、オダギリと麻生さんで映画を撮ってるという情報は以前仕入れていたんですよ。
で、気にはなってたんだけど、いつまでたっても地元でやらないなぁ、やっぱり田舎じゃ無理かも…と諦めていたタイミングでの上映です。
早速見てきました。
いやあ、オダギリがダサイ(笑)。妙な服装と、自信なさげな挙動、民男は少し変わったナイーブな青年なんだけど、オダギリがちゃーんとヘンな人を演じていて、やっぱり巧いなーと思いました。
民男は、長めの髪を後ろで一つにしばってるんだけど、その尻尾の部分が寝起きだとぐるぐる巻きで絡まってるとか、デートの日にはしっかりブラッシングしたらしくまっすぐに綺麗にたれてたり、そんな些細な部分まで設定がちゃんと表現されているのが、可笑しかった。
自転車デートでの初心なオトコゴコロもよかったけど、母親の浴衣をきた彼女にときめいて、その後の衝動的なラブシーンなんかはちゃんとオトコっぽくて、少し変わった部分もあるけれども普通の男(なんだと思う)が真摯に生きてるのが伝わってきました。
そしてまた、母親不在の父息子という独特な関係が表現されていて、それもまた面白かった。
お互い遠慮なく無骨な言葉を投げかけているように見えるので、まるで仲が悪いようにも一見見えるんだけど、実はちゃんとお互いを気遣っているからこそ言わないことや知らせないことがあるという優しさが見えて、そういう不器用な関係性って母娘という関係性とはまたちょっと違ったものがあるんじゃないかと感じました。
そういった丁寧な主人公たち親子の描写がある一方で、物語として見たときの展開の奇妙さとエンディングのすっきりしなさ(^^;は、ある意味対照的といえるのかもしれない。
突然帰ってきた伯父、行き場所のない近所の老夫婦たち、父親の恋人(?)、地味にでも一番変人に見えた民男の婚約者…。
部分部分での笑いや奇妙さは、その場その場で笑いになったり、アクセントとして楽しめるんだけど、でも「お話」として見た場合、一体どういうことなのかが全然わからない…。
いやまあ、そういうものを全部解説しない映画ってのもあるけど…個人的にはちょっと苦手かなあ。
そして、クライマックスです。
漠然と「ああ、そうか。そういうことか」という感情は持ったんだけど、例えば誰かにこの映画のストーリーを説明したとして、最後にどうなったのかを言葉で伝えるのは難しいなあと思ったのでした。
まあ、言葉で表現できないから映画で表現した、ということもあるわけで、うーん、難しい。
私は岩松さんは時効警察での課長役としてしかしらないんだけど、普段は舞台の演出とか脚本なんかをやってるようですね。
舞台と映画は彼の中でも別物だという感覚があるようなので、今度は舞台のほうをちょっと見てみたいかも、と思いました。…「恋する妊婦」、WOWOWでもうやっちゃったんだったかなー?
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