納棺師のお話でした。

納棺師として独立した職があるかどうかは地方によるらしいですね。私の身近な葬式体験では見たことがないので、このあたりでは葬儀屋さんが兼ねてるんでしょう。
北海道とか東北のほうでは納棺師組合などがあるらしいです。物語の舞台は山形でした。

最初、主人公は自分の職業を配偶者にちゃんと伝えられないんです。
「どんな仕事なの?」「…冠婚葬祭、関係…」「ああ、結婚式場なのね」
映画のストーリーとしては、結局その部分が象徴的だと思います。

人の死に関わることってのは、おそらく昔から忌みごととされてきた部分があると思うんですよね。

それは、単純に生物としての衛生観念から来てるんじゃないでしょうか。死体が蔓延すると疫病が発生したという経験則をベースにして。
それを、尊いものだとか人の尊厳だという考え方に持っていけるのは、病気とその発生に対する予防や対処という知恵を得た文化じゃないと難しいんじゃないかしら。
映画を見ながら、そんなことを考えていました。

葬式というものが死者に対するものというよりも、死者を送り出す人間に対して必要な儀式であるとするならば、納棺の儀式というのは、残された人が去った人に対して最期にしてあげられる感謝の表現なのかもしれません。

儀式というのは、どんなものでも厳かな雰囲気があって、それを観る目がある限り、それは一種のパフォーマンスともなりえるわけです。

本木さん扮する納棺師の所作は、ひとつひとつがとても美しく、死者の家族への魅せ方が綺麗だったのが印象的です。

地味な映画ではあるんですが、静かで丁寧に作られていると感じました。
この映画が外国で賞をとったっていうのも、わかる気がしました。

コメント

アミ
2008年9月22日16:28

映画好きの友人に薦められました。
とても、いい映画だと。
見たいですね!

砂姫
2008年9月22日20:02

>> アミ さん
静かで「命」に真摯に対峙した映画でしたよ。
機会があったらご覧になってください(^^)。

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