■「自由死刑」島田雅彦
2008年2月7日 小説、活字本一週間後に自殺しよう。自らに「自由死刑」を執行するのだ。金曜日に男はそう決心した。では、その執行日までどのように過ごすべきか?酒池肉林の享楽か、復讐や救済か、それとも…。しかし、些細な事から男の計画には次次と邪魔が入ることになる。臓器売買、殺し屋、美女との逃避行―。果たして男は無事に死ねるのか。死への欲望と歓喜、そして死ぬ自由の過酷さを描く傑作長編。
今クールのドラマ「あしたの、喜多善男」の原作本、ということで読んでみた。
自殺をしようと決意した主人公が、自殺するまでの一週間を描写しています。
贅沢をしたり、この後に及んでトラブルに巻き込まれたり、ささやかな夢を実現したり、最期の日々にそういう経験をしていく、という物語はそう珍しくはないのでしょうが、しかし、本書の最終章は、多くの「自殺」や「死」を扱った物語の中では珍しいものにな
っていたような、そんな気がしました。
読んでてちょっとした違和感を感じたのは、主人公が死を決意するまではどういう人間であったのか、という点がわかりづらいな、と。
今までこんな人間だったのが、決意したことでこんなことまで出来るようになっちゃったよ、という特異性があんまり見えなかったのよね。
もちろん、決意したら別人みたいに変化する必要はないんだけれども、このあたりはドラマの雰囲気を引きずって読んでしまった私の側の問題なのかもしれない。
というわけで、ドラマと原作は結構違いが大きかったです。
宵町しのぶも元妻みずほも八代さんも出てくるけど、キャラクター設定がかなり違っていたなあ。年齢設定も大きく違うしね。
しかし、ドラマっていうエンターテインメントとしてのアレンジは巧いなあと思いました。
そのまま原作通りに映像化していたら、連続ドラマにはなんか向かない話だなあと思ったし。
クライマックスは、だからドラマは原作とはかなり違ったものになるんだと思います。
その意味で、ドラマの続きが気になっちゃった。
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