●「魍魎の匣」

2008年1月23日 映画
一応「姑獲鳥の夏」も見ているし、京極堂は好きだし、見る気満々だったよ。
こんな遅い鑑賞になってしまったのは、自分としてはかなり悔しい。
でも今回の映画化は、姑獲鳥の時ほど話題になってなくない??自分が情報収集に失敗しただけかなぁ…。

物語は、原作に沿ってはいるけど、かなり大胆に端折られてます。
が、そこが凄く巧い脚本になっていると思いました。
あの長い原作を上手に整理して、描写するところしないところが明確になっていたせいで、逆説的だけど原作より(描かれている部分については)わかりやすくなっていた、といえるかもしれません。

京極堂シリーズの二作目ということになるし、メインキャストもほぼ一作目から続投となっているけど、映画としてみた場合全然続編にはなってません(笑)。

キャラクターの性格付けも多少違うし、映画の雰囲気も全然違う。
姑獲鳥の、夏の陽炎のように漂う厭世まじりな幻想感、退廃的で病的な空気の醸し出すなんとも言い難い独特な雰囲気。
それが、魍魎では、どことなく異国風な日本を舞台にした暴走メリーゴーラウンドのような疾走感が心地良く、ある意味健全ですがすがしい雰囲気が感じられました。
このあたりは監督の違いといっていいのかなあ?

私としては、今回のキャストはかなり満足度が高いです。
関口@椎名さんは、原作の関口とイメージすると椎名さんじゃあクッキリしすぎると思うのだけど、この映画の中の関口には、とてもハマってました。
しゃべっているのに無視される存在感の薄いキャラ(笑)が、映画のキャラとしてはちゃんとたってるっていうか(^^;。
椎名さんって、実は粘着体質なキャラの演技が似合うんだなあとか少し思っちゃった。

そして、京極堂@堤さんは、さすがの実力派ですねえ。
今回の京極堂はちょっとコミカルで、そのあたりのセリフ回しも好きだったな。陰陽の舞(っていうのかなあ?)で呪を唱えながらの所作の迫力には大満足です。
若い頃の中善寺が見れたのも、ちょっとしたお得感がありました(笑)。

久保@クドカンは、初期インパクトとしては意外って感じたけど、でも実は凄く合ってた感じがする。スレンダーな体型と、個性的な顔(表情)が、あのキャラの雰囲気に近く感じられて。
パンフの監督インタビューでは「下馬評では、(久保役に)鳥肌実」みたいな話があって、それはそれでちょっと見てみたかったとか思っちゃったけど(^^;。

ところで、青木刑事@堀部さんって、姑獲鳥からの続投なんだけど、…すっかり印象に残ってませんでした(^^;。
いや、私は堀部さんって結構好きなほうではあるんだけど、原作の青木刑事って何だかもっと小さいイメージがあったのよね。ま、それをいったら木場刑事@宮迫なんか逆で、原作は大男だけど宮迫はコンパクトだし、そういう意味では彼ら刑事コンビは逆な見た目(の印象)なんだけどさ。
ともかく、今回は青木刑事がちゃんと主役たちに絡んで活躍しているのが見られて、そこはよかったかも。

とにかくキャストは今回とても合っていたと思う。
このレベルを維持できるなら、続編の映像化も期待したいなあ。

原作三作目は「狂骨」だったよね。…これはちょっと地味な話なので、映画としてみるなら、その次の「鉄鼠」のほうを見たいかも。電話帳より厚い原作なんで、是非前後編ぐらいで(^^;。

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