私は、女の顔をした悪魔を一人知っているのです。その女のしたことを考えるだけで、ぞっとします。彼女の本当の名前が何というのか、今現在、何という名前を名乗っているのかは知りませんけど、もちろん彼女はまだ生存していて、人を騙し続けています。そして、へいぜんと人を殺し続けています。かつて女であった怪物たちへ、そして、これから怪物になる女たちへ捧ぐ、衝撃の問題作。


…思ったとおり、最悪の読後感。

気持ちの悪い人物を書かせると、桐野さんってピカイチって感じがする。特に、狂った(というほど単純じゃないけど)女性の、リアルな恐さが、怖い。

主人公は40を過ぎた女性なのだけど、とにかく言動がとてもまっとうに成長した大人のものではないので、なんだか子どものように感じられた。
実際、ちゃんと育つことが出来なかった彼女の内面は、子ども、だったんだろうと思う。

明確な悪意を持っていながら、自分がその悪意を持つにいたった根源的な理由を自覚することがない姿は、なんだか言葉の通じない異種の生き物を見ているようで、とても恐ろしい感じがした。
やっぱりコミュニケーションがとれない相手ほど嫌なものはないし。

文章はリズミカルで、するするっと読めてしまいます。
そんなに厚くないしね。

でも、自分の本棚には入れておきたくない…。

やっぱり好きにはなれない作品でした。
でもそういう感情も含めて、この作者には興味がつきません。

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

日記内を検索