●「太陽」

2007年6月9日 映画
彼の名前は、昭和天皇、ヒロヒト。1945年8月。その時、彼は庭師のように質素な身なりをしていた。宮殿はすでに焼け落ち、天皇は地下の待避壕か唯一被災を免れた石造りの生物研究所で暮らしていた。人は、彼を神の子孫だと言ったが、天皇は「私の体は君たちと変わらない」と言った。戦況は緊迫していたが、彼は戦争を止めることができなかった。その苦悩は悪夢に姿を変え、午睡の天皇に襲い掛かる。 うなされるように目を覚ます天皇の孤独。彼は「私は誰からも愛されない」と呟き、遠く離れて暮らす皇后と皇太子たちのアルバムに唇を寄せた。日本はまだ闇の中にある。やがて連合国占領軍総司令官ダグラス・マッカーサーとの会見の日が訪れる。彼はひとつの決意を胸に秘めていた…。


イッセー尾形がロシアの監督によって天皇を演じることになった、と知ったのは多分映画が各種映画祭に出品され始めたあたりだったと思う。
そのときから、「天皇を描いた映画」なんてまだ当分の間日本では造られることはないだろうと感じていたから、余計に観たいなって思っていたんですよ。
その後、いろんな映画祭で好評だというのを耳にするほどに、余計に日本では上映されないんじゃなかろうか…と勘ぐっていたのですが、結果的にかなりの数の映画館で上映される作品となったようです。
やっぱり観たいって思った人が多かったってことなんでしょうね。

描かれているのは、人間としての昭和天皇の姿でした。
始まってしまった戦争に心をいため、ヒトとして生きることを表明したいと願った、一人の男性の行き方として、興味深く鑑賞できました。

外国の監督が録った日本の映画にしては、かなり違和感なく楽しめたのもよかったかな。

映像としては、空襲シーンでの魚の描写とか、エンドロールの廃墟を思わせる東京の俯瞰(…だよね?(^^;)だとかが、綺麗でユニークだったと思う。

多少物語の時間経過が不鮮明な部分とかがあって、話がわかりづらく感じたりもしましたけど、全体としてテーマがはっきりしていて理解が難しくなかったですね。
しかしその簡潔に見えるテーマも、内心にいろいろな想いが湧き上がってくるのは、やはり自分が日本人だからでしょうか。
多分、日本人とそうでない国の人では、この映画に対する感傷が随分違うんだろうなあ。

まあしかし、映画というエンターテインメントというものであるとしても、コレが上映されたのは、多分凄いことなんだろうなあ。

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