●「ある子供」

2007年3月22日 映画
20歳のブリュノと18歳のソニアの間に男の子が生まれた。ジミーと名付けた赤ちゃんをソニアは母親らしく世話するが、ブリュノは父親になった実感などなどく、職につかず、盗んだ盗品を売った金で生活をするという変わらぬ毎日だ。そしてソニアが目を離したスキに、彼は赤ん坊を闇取引の女に売ってしまい、そのことを知ったソニアは卒倒。病院に担ぎ込まれてしまう。事の重大さに気づいたブリュノは赤ん坊を取り戻そうとするが…。
子どもが子どもを生んで、親になる。少女は母性に目覚め、かいがいしく面倒をみることでひとつ大人への階段を上るが、男は少年のまま、社会とかかわることもなく、その日暮らしで満足している。そんな主人公の人生の転機をドキュメンタリーのように淡々と追っていくのが本作。主人公が愛する人を失い、焦り、取り戻そうと必死に行動する姿をカメラはジッと映し出す。過剰な演出、説明的セリフはは一切ない。それゆえに、彼の変化、成長が心に染み渡るように伝わってくる。1999年『ロゼッタ』でカンヌ映画祭パルムドール大賞受賞したジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟監督は、2005年、本作で2度目のパルムドール大賞を受賞した。


とても静かな映画です。BGMもすごく少ないし、セリフもあんまり多くはないし。
でも、独特な雰囲気が映画を構成していて、特徴的でした。

序盤、主人公の青年の愚かさに眩暈がするほどですが、しかし素朴であるからこそ、彼女の怒りに直面したときの彼の後悔した顔が素直で、ちょっとびっくりしました。

結局のところ青年は悪人というよりは、ただどうしようもなく子供なのだということが、はっきり見てとれたのです。

淡々と、ドキュメンタリーのように撮られた映画なので、おそらく観る人を選ぶでしょう。
でも私は結構好きだなあって思いました。

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