■「魂萌え !」桐野 夏生
2006年12月10日 小説、活字本夫婦ふたりで平穏な生活を送っていた関口敏子、59歳。63歳の夫・隆之が心臓麻痺で急死し、その人生は一変した。8年ぶりにあらわれ強引に同居を迫る長男・彰之。長女・美保を巻き込み持ちあがる相続問題。しかし、なによりも敏子の心を乱し、惑わせるのは、夫の遺した衝撃的な「秘密」だった。
単行本の発売当初から気にはなっていたのだけど、結局文庫でゲット。
先月NHKのドラマにもなりました。私は録画に失敗して、二話をちょっとみただけだけど、高畑さんが巧く主人公を演じていたと思います。
桐野さんは、人間味のある中年女性を書かせると巧いですねえ。
小説内でのエピソードとか環境は特殊であるとしても、その場面に対峙したときの女性の心情にとてもリアリティがあるように感じます。
まあ自分よりも大抵年齢が上のキャラクターが多いので、私がそのぐらいの年齢になったときに感じるのは、また違っているのかもしれないのですが…。
あとから解説だったかな、読んで知ったのですが、どうやら新聞連載だったようです。
ということは、物語は読者の反響とともに作られていったのかなあと想像しました。
主人公は最後に一人で強く生きる覚悟を決めたように感じましたけど、しかしそれまで家で守られていた女性が、このように自分の生き方に自覚的になれるかというと、多くの人にはやっぱり難しいようにも思います。
そういう意味では、理想的な(非現実的な)終わりだったようにも思えました。
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