■「血のごとく赤く―幻想童話集」タニス・リー
2006年10月29日 小説、活字本さあ、お聞きなさい、グリマー姉妹のおとぎ話を。
美しいけれど邪悪な王女や可憐な姫君をまどわす魔物の王子、闇の公子に恋した乙女や狼に変身する美少女たちがくりひろげる、美しく妖しく残酷な九つの物話を…。
ダーク・ファンタジィ界の女王がグリム兄弟ならぬグリマー姉妹の名を借りて、「白雪姫」「シンデレラ」「美女と野獣」「ハーメルンの笛吹き」などおなじみの童話をモチーフに織りあげた、魅惑の幻想童話集。
リーらしい、幻想的な物語集でした。
有名な童話を下敷きにしているので、大抵の人は素のストーリーを知っているのじゃないかと思います。
なので、リーによる物語解釈の独特さを楽しめるんじゃないでしょうか。
個人的に、わたしはラプンツェルだけ知らないので、このリーの物語がどういうオリジナリティを含んでいるのかわからなかったのですけどね。
でも、面白かったのは確かです。
一番のお気に入りは、最後に収録されている「美女と野獣」をベースにした物語。
てか、ベースが「美女と野獣」ってことになってるみたいだけど、わたしは「みにくいあひるの子」かと思ってました(うわ、すごいネタバレかも(^^;)。
多少文章が古い感じを受けるのですが、この物語の雰囲気には合っていると思います。
美しく妖しい登場人物たちの織り成す物語に、ゆっくりと浸りながら読むのがいいでしょう。
コメント