■「眠り姫」ダニエル・キィス
2005年12月10日 小説、活字本
病院のベッドで、もう何日も眠り続けているキャロル・クレイ。31歳になる彼女は、幼いころから「眠り姫」と呼ばれていた。それは彼女が、いつ、どこで、何をしていても突然眠ってしまう原因不明の奇病、睡眠障害にかかっていたからである。その発作によって、彼女はいま深い眠りの底にいた。キャロルが眠っているあいだに、彼女のまわりでは恐ろしい事件が起きていた。娘のエレナが、ボーイフレンドとともに死体で発見されたのだ。その数日後、キャロルは突然、眠ったまま驚くべき物語を語りはじめる。「二人を殺したのは夫のロジャーだ」と。だが、優秀な精神科医アイリーンは、キャロルの言葉に疑いをもつ。精神療法家としての技術を駆使して、アイリーンはキャロルの心に隠された真実を探りはじめたが…。やがて明らかになる、想像を絶する真相とは。
睡眠障害という病気があるんだそうですね。
自分の意思とは全然関係なく、昼夜問わずいきなり眠りがやってきて意識を失ってしまうらしい。
物語は、この睡眠障害を持つ女性の娘が殺されるところから始まる。
何故少女は殺されたのか、その動機は一体…?
キィスは、人物を丹念に描写する人だなぁと思いました。
登場人物は、どこかしら精神的な荷物を持っている人が多くて、いわゆる普通の人って事件を追っていたストーン刑事ぐらいだけだったような気が…。
私がかなり不満…というか不思議だったのは、裁判の判決がすぐに決まった(ように見える)ことでした。
読者の立場では、事件の真相(手を下したのは誰なのか)と裁判の乖離が凄くはっきりしているので、余計に作中での裁判の決定があっさり下されたのが納得しずらいっていうか…。
このあたりは後半になってやっと、本当に犯人(とされている人物)が殺人を犯したのか?という話が出てきて、今頃かよと一人でツッコんでしまった…。
全体に、キャラクターが重荷を抱えすぎていて、エピソードが散漫になっていたような印象を受けました。
アウシュビッツの話も、生まれ変わりの話も、いばら姫と四人の騎士の話も、その部分をもうちょっと追求するだけでもいろんな深みを出せそうなものなのに、それらが殺人事件の周囲を歩く人々の一つの特色ぐらいにしか描写されていなかったのが残念。
特にアイリーン医師の父親との話から、クライマックスの催眠ダイビングのあたりは、わかりづらかったような気がする。
ま、最後はお話としては綺麗にまとまっていたように思うけど、借りに実際にこのような事件が発生した時のシナリオとしてあのクライマックスになってしまったのなら、それはちょっと後味が悪いような気がする。
殺されてたエリカに救いがなさすぎるし、真犯人にはある意味で都合が良すぎる気がするし…。
ところで、キィス個人の見解なのか、(アメリカの)一般的な犯罪心理学では当然のことなのかわかりませんが、過去に性的な被害、あるいはトラウマを抱えている登場人物が多かったのが、ちょっと気になった。
キィスの作品では、チャーリーも、ビリー・ミリガンも、確かサリーも、幼少時に性的被害者であったはず。
この物語でも、幼少時における性的な経験をトラウマとして抱えることになった人たちが複数出てきて、そういう経験がある人は精神的に何かしらの傷を負っているのだと断言されているような印象を受けました。
その点も、個人的に読後感があんまりよく感じなかった原因かもしれない。
睡眠障害という病気があるんだそうですね。
自分の意思とは全然関係なく、昼夜問わずいきなり眠りがやってきて意識を失ってしまうらしい。
物語は、この睡眠障害を持つ女性の娘が殺されるところから始まる。
何故少女は殺されたのか、その動機は一体…?
キィスは、人物を丹念に描写する人だなぁと思いました。
登場人物は、どこかしら精神的な荷物を持っている人が多くて、いわゆる普通の人って事件を追っていたストーン刑事ぐらいだけだったような気が…。
私がかなり不満…というか不思議だったのは、裁判の判決がすぐに決まった(ように見える)ことでした。
読者の立場では、事件の真相(手を下したのは誰なのか)と裁判の乖離が凄くはっきりしているので、余計に作中での裁判の決定があっさり下されたのが納得しずらいっていうか…。
このあたりは後半になってやっと、本当に犯人(とされている人物)が殺人を犯したのか?という話が出てきて、今頃かよと一人でツッコんでしまった…。
全体に、キャラクターが重荷を抱えすぎていて、エピソードが散漫になっていたような印象を受けました。
アウシュビッツの話も、生まれ変わりの話も、いばら姫と四人の騎士の話も、その部分をもうちょっと追求するだけでもいろんな深みを出せそうなものなのに、それらが殺人事件の周囲を歩く人々の一つの特色ぐらいにしか描写されていなかったのが残念。
特にアイリーン医師の父親との話から、クライマックスの催眠ダイビングのあたりは、わかりづらかったような気がする。
ま、最後はお話としては綺麗にまとまっていたように思うけど、借りに実際にこのような事件が発生した時のシナリオとしてあのクライマックスになってしまったのなら、それはちょっと後味が悪いような気がする。
殺されてたエリカに救いがなさすぎるし、真犯人にはある意味で都合が良すぎる気がするし…。
ところで、キィス個人の見解なのか、(アメリカの)一般的な犯罪心理学では当然のことなのかわかりませんが、過去に性的な被害、あるいはトラウマを抱えている登場人物が多かったのが、ちょっと気になった。
キィスの作品では、チャーリーも、ビリー・ミリガンも、確かサリーも、幼少時に性的被害者であったはず。
この物語でも、幼少時における性的な経験をトラウマとして抱えることになった人たちが複数出てきて、そういう経験がある人は精神的に何かしらの傷を負っているのだと断言されているような印象を受けました。
その点も、個人的に読後感があんまりよく感じなかった原因かもしれない。
コメント