お茶でもいかがとコニーのさそい、毒入りなのねとメリキャット…不気味な唄声が暗示する惨事の影。閉ざされた館に高まりゆく愛と死と狂気。モダン・ゴシックの女王の最高傑作、本邦初訳。

ジャンルでいうと、私は自分からホラーやスプラッタを選択することはない。
なんだけど、なぜかこの本がずっと本棚にあって、一体なにがきっかけだったのかなぁ(^^;。多分誰かにすすめられたんだと思うのだけど。

物語は幼女メリキャットの視点で過去を振り返る形で語られます。
なぜか町の人々から嫌われているブラックウッド家の末娘であるメリキャットは、姉と二人暮らし。
六年前におこったある事件をきっかけに閉鎖的な暮らしを余儀なくされた彼女はしかし、それでも愛する姉との生活の中で幸せに暮らしていたのだった。

ここで語られる六年前の事件だとか、物語クライマックスで描かれる暴動の様子などは確かにドキドキしながら読んだのだけど、一番の怖さというのは、メリキャットの幸せな様子なんだと思う。

客観的な視線でみると、多分彼女は恵まれない環境で暮らすことになっているように思う。不自由に見えるし、不安定だ。

しかし、メリキャットの主観においては、昔の事件もこの物語でおこった事件も、彼女の前に立ちふさがった悪魔を払っただけのことであり、悪魔が去ったならば彼女はそれで満足。

子どもらしい楽観した未来と、現実を補うほどの想像力が彼女を幸福たらしめている、その姿がとても恐ろしいのですよ。

こういうホラーもあるんだなぁと、私にしてはちょっと意外な感想をもちました。

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