著者の新旧おりまぜた短編集。
すごく短いものもあれば、中編?というぐらいのものもあり、しかし全てにおいて著者らしさの滲み出る作品ばかりでした。

私はそもそもが長編読みなので、短編というとあまり食指が動かなかったのね。それで、購入してからも本棚でしばらく待機状態だったこの本ですが、最近まとまった読書時間がとりにくいこともあって、短編集のコレを読んでみることにしたのでした。

全然話は変わるけど、こういう動機で思ったときに手にとれるからこそ、自分で本を買うのだよなぁと実感。本屋に行けばいつでもかえる本も多いし、特定のジャンル以外は図書館で間に合うものだけど、「今、ここで」というタイミングが自分ではかれるのは、やはり自分の本棚だけだと思うので。

で、さて。
収録された順に素直に最後まで読みましたが、著者のスタイルが一環しているせいか、収録された作品が相互に雰囲気が似通っているせいか、全然初出の時差が感じられません。

巻末の初出履歴を見ていると、かなり古いものから新しいものまで混ざっているのに、読んでいるときにはそれがほとんどわからないぐらい。

相変わらずなシニカルな視点や、言葉遊び、ユーモアで楽しませてもらいました。

一番しっくりきたのは「射性」。
クライマックスでのオーガズムな描写には意表をつかれました。
さ、さすがだわ…。

マイク=マーシのような御伽噺調のものも好きだけど、やはり私が求める神林SFってこういう方向なのだなぁと納得してしまったのでした。

あと、やっぱり麦撃機の話ですかね。
いつものとぼけたような世界観に、現代を揶揄したような物語設定を読み取ることもできて、なかなか唸らされるものがありました。

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