縁(えにし)

2005年1月23日 エッセイ
近辺の獣医師会が主催する里親募集イベントに行ってみた。

このあたりに引っ越してきてからお世話になってる獣医さんのところも加入しているらしく、定期的に催しを行っているためポスターをよく見かけていたのだ。

それで、偶然家の近くで開催されるらしいことを知り、出かけてみることにした。

今回は珍しく、とても里子の少ない回だったようで、犬猫それぞれ1頭。
それに対し、里親希望は4、5組という熱愛ぶり(笑)。

実は里子の数が少なくて、里親抽選の前に諦めて帰った人たちも多くいて、イベントそのものがこの地域でちゃんと知名度もあり、活動が認められているのだなと感心したのでした。

うちはといえば、縁のある子がいれば…といった感じで出かけてみたのだけど、今回はどの里子ちゃんもモテモテで、みんな幸せになれそうな雰囲気だったので、里親が決定するまで見学して帰ってきました。

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数ヶ月前、うちからアクシデントで脱走してしまったあの子は、ちゃんと元気でいるだろうか。

脱走当時、いろいろな思いが混ざり合って、感情がどうしても落ち着かなかった。

今でも一部の(猫好きの)友人にしか話してないし、こういう家族同然だけどヒトではない存在に対して理解のない人(たとえば実母とか)には話せないのだけど、そろそろ自分の中で落ち着いてきたので、少し書いてみようと思う。

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他人から見たらどうかわからないけど、自分としては当時出来るだけの行動はしたつもり。
だけど、結論として、あの子は帰ってきていない。

一方で寂しさはあるけど、また一方では、うちじゃなくても、どこか別の場所ででもいいから、元気でいて欲しいなぁ、と思う。

あのコが脱走して数週間後、家からちょっと離れた車のとおりの激しい道路の端に、遠目に小動物の可哀想な姿が目に入った。

体のサイズや色から、もしかしてあの子かと瞬間的にショックをうけ、次にそんなはずはないと根拠のない言葉が思い浮かび、それでもそのままあやふやに出来なくて、意を決して確認をしに近づいた。

小さい体は若い猫だった。

車の事故にあったらしく、酷い怪我で、素人目にも即死に近かったのだろうと想像できた。
そして、毛色はあの子そっくりの白黒のサバ模様で、その瞬間心臓がドキリと跳ね上がった。
しかし、首には見たことのない柄の首輪をしていて、顔にはあの子の特徴であった白いポイント柄がない。

薄情だとも思うし、自分勝手だとも思うけど、正直、そこまで確認してから、ホっと息をついて、安心した。
ヨカッタ、アノコジャ、ナカッタ。

そして、そっと、短く、このコの彼岸での幸せを祈る。

しかし首輪をしてるということは、この可哀想なコにも家族がいるわけで…、ホっとした自分がちょっと後ろめたく感じたのも事実。

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雨の日の夜、ふと窓から外を見る。

ぬれてないかな。
ちゃんと暖かい場所でお腹いっぱいになってるのかな。

いつか、また、会えるだろうか。

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そんないろいろなことから、今回ちょっと覗いてみた里親募集イベント。
沢山の里親候補としてやってきていた人たちをみて、なんだかほんわりと暖かくなったのでした。

では、また。

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