向こうの世界シリーズ、第三弾(笑)。
「扉を開けて」で主人公が飛ばされる世界を舞台にした物語は、他に「ラビリンス−迷宮」と本書の三つだけなのよね。
著者は、向こうの世界の歴史模様とか、対立する国同士の争いだとか、キーとなる登場人物だとか、全部頭の中に物語が出来上がってるらしのだけど、はやく本にして下さい(^^;。

で、本書。
この物語は「扉を開けて」の物語と時間軸がほぼ同じ頃の、南の国の物語。

高貴なる血、という純潔をひたすら守り抜いてきた王族の一番若い青年と、その母親が主人公。

血という宿命に縛られた人たちの愛憎の悲劇と、逃れられない運命を語ったものなので、まあ…ちょっと読後感が悪い…ですなぁ(^^;。
ひたすら狂気が描かれているのって、読んでて苦痛なんだもん。

私は折角王族の話らしいので、隣国との戦争だとか宮廷での駆け引きとか、その辺りの物語が読めるのかなぁと期待して読み進めたわけですが、結局は「血」の物語だった。というのが、物足りなく感じた理由なんでしょう。

国の歴史は、主人公たちのモノローグやセリフの端に登場することでなんとなく見えるものの、物語の主軸が「血」と「運命」だから、いかにして彼が生まれたのか、何故彼女が狂気に陥ったのか、というのを延々と語られてしまうのは、ちょっと辛かったなぁ…。

しかし、この物語により中の国と東の国の(ひとまずの?)消滅と、さらに東の砂漠の謎や、なりを潜めてしまった西の島のその後など、この世界に散らばる沢山の謎と物語の片鱗がうかがえるので、是非とも著者にはそのあたりのことを紡いで欲しいと思います。

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