社会問題でもある「性同一性障害」を堂々とマスコミの前で告白した安藤大将の魂の叫び。今もなお現役競艇選手として活躍する彼の心と体の葛藤を綴った一冊。

競艇の安藤選手の自伝。

彼の話は、ちょっと前に漫画版を読んだことがあったのだけど、文章のほうでも読みたいと思ってたのでした。

性同一性障害を理由に、競艇の女子選手から男子選手に登録を変更した安藤選手。
自分の障害を自覚し、両親を説得し、先輩選手と相談しながら競艇の選手を続けていく道を模索していく様子が書かれています。

本の作りとして、ちょっと時系列がバラバラだったのが読みづらかったかなぁ。
基本的な時間軸は現在に置いていて、過去の話を何度か遡って語るというスタイルになっているので、多少同じ話が繰り返され、本という媒体で接するとちょっと違和感になった気がします。

多分同じ内容を対談とか、インタビュー番組なんかのスタイルで語っていると、そう違和感はなかったのかもしれないけど。

ただ、ご両親からの手紙だったり、安藤選手の大先輩が感じた安藤選手のレーススタイルの変化(カムアウトの前後で)などは、大抵主観的な内容で終わりがちなこの手の本としては、ちゃんと客観的な立場からの文章も入っていて、その点が当事者でない人にも共感しやすくなっていたように思う。

特に女子選手時代のレース展開と、男子選手として再デビューしてからのレースや対人関係における変化などを、当事者以外の人の感想として載っていたのは、珍しいと思う。

あと、安藤選手の扱いを考えて、思案を重ね、結局登録変更を許した全モ連の上層部の人たちに拍手を送りたいですね。

もちろん、日ごろの安藤選手の行動があったからこそ、前向きに検討しようという姿勢になりえただろうし、そういう意味で安藤選手が地道に善行を重ねた結果でしょう。

けれども、とかく頭の固くなりがちな年齢層である上層部の人たちが、どうすれば選手として継続していけるかをちゃんと考えてくれたというのは、やはりスゴイことだと思う。

本はそんなに厚くないし、文体も読みやすいので、多くの人に手にとって欲しいですね。

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