悲愛

2003年9月10日
先週からのんびり読んでる本が終了。ここのところずっと神林作品を立て続けの読んでるのだけど、光文社書き下ろしで書かれた四作って、ハヤカワでの神林作品と比べ、少しだけSFテイストが和らいだ作品が多い印象。
バリバリの近年の神林作品と違って最初とまどったけど、慣れてくるとこれもまた一つの方向かななどと思ってしまうのは、ファンのひいき目かも(笑)。

夜はようやく不幸な王子の最終回。
なんだか主人公たちにあまりに救いがなくて、悲惨な物語だった。最終回での説明もちょっと足りない感じがしたなあ。

終わって、で、結局何がいいたかったのか、よくわからない。
海ちゃんの恋を貫く姿を描きたかったのか、修平のように最初に過ち(弟に手をかけたという事実)を犯すと人生めちゃくちゃになるっていいたいのか(^^;、良介の自己中心的な恋と憧れと屈折した嫉妬心を表現して後悔させたかったのか。

このドラマは登場人物に共感してなかったので、客観的にしか見れないのだけど、なんだかテーマがよく見えないなあというが正直なところ。
見方が悪かったのか…。うーむ。
しかし、あまりに(海と修平に対して)救いがない。

■「蒼いくちづけ」神林 長平
孤児だったルシアはずっと不幸な人生をおくってきた。が、ようやく巡り合った恋人に愛され、この幸せはずっと続くと信じていた。けれども、彼の本心を知り彼に殺されようとした時、彼女は最期の力を復讐に変容させてしまった。
テレパシーを持つ者持たない者たちが共存する月社会で、謎の死体と意識を持つ内臓が引き起こす哀しい事件の物語。

前提となるルシアの物語と、彼女の救いとなったOZの物語が前半ちょっと長めに語られるので、てっきり二人がメインで登場するのかと思っていたら、ルシア事件を追うブラックウッド刑事やら彼女の感応力だけを欲していたブートタグたちやらと、外野の描写が多くてちょっと当てがはずれた感があった。
けれども、死の直前にテレバスの力が脳から他の内臓に転移したという発想は、やはり神林らしいと思う。

エピローグで表現されるルシアの言葉で、この物語が実はロマンス小説なんだなと思った次第。

では、また。

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